【お役立ちミニ講座Vol.17】職業生活と家庭生活の両立ができる「職場環境づくり」を行う事業主を支援する助成金とは?(その2:主に女性労働者を対象とする助成金)

皆さんこんにちは!今年も残すところあと3日になりました💦大雪で被害にあわれた地域の皆様にはお見舞い申し上げます。幸いこちらの香川県は比較的天候に恵まれておりますが、日常を無事過ごせるのは大変ありがたいことですね🍀オフィスこころはお陰様で年内の仕事も終わり、ほぼ仕事納めになりましたが、今年最後の投稿をすべく、出勤しましたよ(;'∀')

前回は主に男性労働者の出生時育児休業の助成金のお話でしたが、今回は主に女性労働者に対する助成金ということで、私は興味津々です!年末で大掃除しないといけないけど、気晴らしにぜひ教えてください🌟

ずきんちゃん、楽しみにしていてくれてありがとう!中小企業事業主様にとって一度は利用していただきたい助成金なので、若い従業員の定着のためにもぜひ参考にしてくださいね📒

「育児休業等支援コース」の概要/助成金のパターンは3種類あり、ぜひ連続して申請しましょう!

必要な共通条件は?「育児・介護休業等規程」はありますか?また「一般事業主行動計画」の提出も必要🌟

共通条件は3つ!
1.育児休業制度などを対象労働者の休業開始前に労働協約または就業規則に定めていること。
2.次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、労働局に届け出ていること。
3.対象労働者を育児休業の開始日において、雇用保険被保険者として雇用していること。

前回に引き続き、「一般事業主行動計画」については以下を参照してください!申請時点で行動計画が有効で、公表されており、労働者に周知させるための措置を講じていることが必要です。

1については、育児休業制度や育児のための短時間勤務制度が確認できる規程が必要ですね。なお、常時雇用する労働者が10人未満で就業規則の作成・届出をしていない場合は、育児休業制度が明文化されていて、労働者に周知されていることが必要です。

第一段階:「育休取得時」と「職場復帰時」に支給される助成金

労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に計画的に取り組む中小企業事業主に支給!支給額はこちら↓

A:育休取得時 28.5万円(36万円)
B:職場復帰時 28.5万円(36万円)

A、Bとも1中小企業事業主について二人(無期雇用労働者一人、有期雇用労働者一人)まで支給可能
※「生産性要件を満たした場合」は別途括弧内の額に増額

当然ですが、職場復帰時の助成金は、育休取得時を受給していない場合は申請不可になります(;'∀')「中小企業事業主」の要件と「生産性要件を満たした場合」については前回の投稿時に記載しているので参考にしてくださいね!

こちらの助成金は、連続であわせて「57万円」受給できるということですね!どんな条件が必要なんですか?

「育休取得時」「職場復帰時」それぞれに必要な条件を以下に要約↓まずは「育休復帰支援プラン」を作成しましょう!

A:「育休取得時」の助成金について必要な3つの条件
1.育児休業の取得、職場復帰についてプランにより支援する措置を実施する旨を、予め労働者へ周知すること。
2.育児に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で育児の状況や今後の働き方について希望等を確認の上、プランを作成すること。
3.プランに基づき、対象労働者の育児休業(産前休業から引き続き産後休業及び育児休業をする場合は、産前休業)の開始日の前日までに、プランに基づいて業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に連続3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得させること。
B:「職場復帰時」の助成金について必要な3つの条件
1.対象労働者の育児休業中にプランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料の提供を実施すること
2.育休取得時にかかる同一の労働者に対し、育児休業終了前にその上司又は人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること。
3.対象労働者を、面談結果を踏まえて原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。

「プランを作成」とあるのは、どうやって作っていったらいいんでしょう、ひな形とかあるのですか?

心配ご無用よ、育休復帰支援プランや労働者と面談するときに活用できるシートなど、厚生労働省のホームページに詳しいエクセルシートがあります!ぜひこちらを利用してくださいね。

【参考】
育休復帰支援プラン(厚生労働省HP)
育休復帰支援面談シート(厚生労働省HP)
仕事と育児の計画書(厚生労働省HP)

ひな形があるなら、うちのような中小事業所でも作成ができそうですね、総務担当の方にお伝えしておきます(^^ゞ

他にもプラン作成の全体の流れについてはこちらにまとめられています。社内周知の文書なども一から作るのは大変ですが、これらを元に作ってみたらできそうですね!

そして、プランの作成方針の周知については、例えば就業規則に以下のように定めてくださいね!
【参考】「育休取得時」「職場復帰時」の助成金を活用するための就業規則への規定例
 会社は、育児休業の取得を希望する労働者に対して、円滑な育児休業の取得及び職場復帰を支援するために、当該労働者ごとに育休復帰支援プランを作成し、同プランに基づく措置を実施する。同プランに基づく措置は、業務の整理・引き継ぎに係る支援、育児休業中の職場に関する情報及び資料の提供を含むものとし、育児休業を取得する労働者との面談により把握したニーズに合わせて定め、これを実施する。

ちなみに、前回の男性の出生時育児休業を対象とする助成金「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」とは併用できませんよ💦

第二段階:「業務代替支援」に支給される助成金

育休取得者の業務を代替する労働者を確保し、かつ育休取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主に支給!支給額はこちら↓

支給額
A:新規雇用 47.5万円(60万円)
B:手当支給等 10万円(12万円)
有期雇用労働者加算

※育児休業取得者が有期雇用労働者の場合に加算!

9.5万円(12万円)
※1中小企業事業主についてA・Bあわせて1年度10人まで支給(事業主が初めて支給決定を受けてから5年間、支給申請ができます。)
※「生産性要件を満たした場合」は別途括弧内の額に増額

「業務代替支援」に必要な条件は3つ!就業規則等にも職場復帰支援の記載が必要🌟

「業務代替支援」の助成金に必要な3つの条件
1.育児休業取得者を、育休終了後、原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること。
2.対象労働者が3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する(A)または代替要員を確保せずに業務を見直し、周囲の社員により対象労働者の業務をカバーさせる(B)こと。
3.対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。

育休取得時と職場復帰時は1中小事業主について二人まででしたが、こちらは1年度10人までなんですね!ということは、助成金を活用して3人目以降の育休取得者に対して、休業取得時の助成金は人数制限で出ないけれども、業務代替支援を行った場合は、支給可能ということですね。これは、男性労働者も対象なんですよね?

さすがずきんちゃん、相変わらず鋭いわね🌟3か月以上の育休取得が条件だけど、男性労働者の育休取得時にも該当になるわね。うまく活用して、社内で協力して業務を補いながら代替えしていくのにちょうどいいわね。新規雇用ならなおさら助成額が高くなります。

ちなみに、就業規則への規定なのですが、「育休・介護休業等規程」や「賃金規程」に以下のような条文を付け加えてみてくださいね。
【参考】業務代替支援の助成金を活用するための就業規則等への規定例はこちら!
(復職後の勤務)
1 育児・介護休業、出生時育児休業後の勤務は、原則として、休業直前の部署及び職務とする。
2 1にかかわらず、本人の希望がある場合及び組織の変更等やむを得ない事情がある場合には、部署及び職務の変更を行うことがある。この場合は、育児休業(出生時育児休業含む)終了予定日の1か月前、介護休業終了予定日の2週間前までに正式に決定し通知する。
(育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直し)
会社は、育児休業を取得する労働者が生じたことに伴い当該労働者の業務を代替することとなった労働者の業務の増加に伴う負担を軽減するため、育児休業を取得する労働者の業務の整理・引き継ぎに係る支援を行うとともに、当該労働者の業務を代替することとなった労働者への引き継ぎの対象となる業務について、休廃止・縮小、効率化・省力化、実施体制の変更、外注等の見直しを検討し、検討結果を踏まえて必要な対応を行うこととする。
(業務代替手当)※新規雇用ではなく、周囲の社員に手当を加算して対象労働者の業務をカバーさせる場合
育児休業、介護休業、病気休職など長期休業者等の休業中の業務を代替えする者に対して、その業務内容に応じて○万円(一万円以上の規定が必要!)を限度に支給する。

他の社員に業務代替手当を支給する場合は一人につき「一万円」以上増額されている期間が合計3カ月以上あることが必要になります。

うちの会社の育休規程はどうなっているかな?今度見ておきますね(^^ゞ

第三段階:「職場復帰後支援」に支給される助成金

育休復帰後、仕事と育児の両立が困難な時期にある労働者の支援に取り組む中小企業事業主に支給!支給額はこちら↓

制度導入時 28.5万円(36万円)
制度利用時 A:子の看護休暇制度1,000円(1,200円)×時
B:保育サービス費用補助制度 実費の2/3

制度導入については、AまたはBの制度導入時いずれか1回のみ支給。なお、制度導入のみの申請は不可。
※制度利用は、最初の申請日から3年以内5人まで支給。1事業主あたりの上限は、A:200時間(240時間)B:20万円(24万円)まで。
※「生産性要件を満たした場合」は別途括弧内の額に増額

「職場復帰後支援」に必要な条件は二つ!育介法を上回る看護休暇や保育サービス費用の助成制度の導入が条件🌟

「職場復帰度支援」の助成金に必要な2つの条件
・育児・介護休業法を上回る「A:子の看護休暇(有給、時間単位)」または「B:保育サービス費用助成制度」を導入していること。
・対象労働者が1か月以上の育児休業(産後休業を含む。)から復帰したあと、6か月以内において、導入した制度の一定の利用実績(A:子の看護休暇制度は10時間以上(有給)の取得またはB:保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。

子の看護休暇は育児・介護休業法でも規程されていますので、導入自体は必須となっていますが、「無給」の事業所も多いのではないでしょうか?通常の有給休暇とは別に子の看護休暇を「有給休暇」にすることが少なくとも必要ですね!この場合は、「育児・介護休業等規程」も修正してくださいね。

保育サービス費用助成制度って何ですか?

小学校就学前までの子を持つ労働者が利用したベビーシッター、一時預かり、ファミリー・サポート・センター、家事支援サービス、病児・病後児保育などの費用の一部を助成する制度よ。なお、こちらも労働協約や就業規則に定めている必要があります!
【参考】保育サービス費用補助制度の助成金を活用するための就業規則への規定例はこちら!
 会社は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して、当該子に係る臨時的・一時的な保育サービス(ベビーシッター、一時預かり、ファミリー・サポート・センター、家事支援サービス等)の費用の半額を補助する。ただし、1か月あたり●万円を上限とする。
※「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業(内閣府)」を受給していないことが条件になります。

うちの会社にはまだこんな制度聞いたことないわ💦保育サービスへの補助は助かるわ。これを機会に導入してもらおうっと。子の看護休暇も有給だったらありがたいなあ。

オフィスこころの所見

今年最後のお役立ちミニ講座となりましたがいかがでしたか?中小企業の事業主様でまだ活用されていない方はぜひ利用していただきたいです。こちらを受給するためには、まず「育児・介護等休業規程」を見直すことが先決ですね。支給申請のための、シートや申請書などは厚生労働省のホームページに丁寧に掲載されていますが、全部理解するのは正直大変です。事業主や労務管理担当者自身がこの制度を熟知していないと、労働者にも説明できませんよね💦オフィスこころでは、希望の事業所様には就業規則の見直しも含めて、制度の説明やこういった助成金の申請に関するアドバイスなどの個別相談も可能です。必要な方はネットの来所相談予約サイトなどからお申込みくださいね(^^ゞ

今日も盛りだくさんでしたね。もし私が産休や育休をとるあかつきにはぜひ利用したいです。産休や育休を安心して労働者が取れるように職場環境を整えるのは大事ですよね。中小企業にとっては、色々準備するのが大変ですが、申請過程を通して、ひとつの道を習得できれば今後の産休育休取得もスムーズに行きそうです🍀今回、申請するために必要な書類や規定例なども分かったので、何も知らないよりは知っているだけでも心強いです!

そうね、ぜひずきんちゃんが率先して、会社の職場環境改善に貢献してね🍀ずきんちゃんの今後の幸せと活躍を祈っているわね🌟

事業所様用(個人事業主様含む)お問い合わせフォーム

🌟助成金申請に対応した「育児・介護休業等に関する規程」を作成することも可能です!厚生労働省の提供しているひな形だけでは作成出来ませんので、ぜひお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように

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