【お役立ちミニ講座vol.1】会社を退職した後の「健康保険」はどうなるの?

みんなの疑問

会社を退職した後の「健康保険」はどうなるの?

今日は、「お役だちミニ講座」として、会社を退職したあとの健康保険の手続きについて説明します。(主に週30時間以上勤務の社会保険に加入していた人が対象です。また、75歳以上など後期高齢者医療保険制度の加入対象の方は除きます。)

今まで勤めていた会社を退職したとき、退職日の翌日に健康保険の資格が喪失となります。例えば令和3年6月30日に退職した人の資格喪失は翌日の令和3年7月1日、この日以降、お持ちだった健康保険証も家族分も含めて使えなくなります。さあ、退職したはいいものの、その後の健康保険はどうしたらよいのでしょうか。

会社を退職した後の「健康保険」はどうなる?

ほとんどの方(※1)の選択肢としては、主に以下の3つです。

プランA:居住地の国民健康保険(国保)に加入する

プランB:在職中の健康保険を継続する(任意継続被保険者になる)

プランC:健康保険加入者の家族の被扶養者になる

(※1)上記以外の事例として、特例退職被保険者制度がある組合健保に加入されていた方は、一定の加入条件を満たせば、全額自己負担で在職中と同じ組合健保に加入することができます。

では、それぞれについて加入条件やポイントを見ていきましょう。
プランA:居住地の国民健康保険(国保)に加入する

加入の条件:他の健康保険に加入していないこと。原則退職日の翌日から14日以内に、居住地の市区町村役場に申請する。

給付の内容:原則、法律に定められた給付。(ただし、在職中に給付される傷病手当金や出産手当金等はない。)医療費の自己負担割合は協会けんぽや組合健保と同じ。

保険料:所得割額(前年の被保険者全員の基準となる所得金額×保険料率)+均等割額(一人当たりの均等割額×被保険者数

※市区町村により資産割(固定資産額によりかかる金額)・平等割(一世帯ごとにかかる金額)が加算される場合があります。ちなみに高松市は平等割があります。

※保険料率・保険料額は市区町村により異なりますが、インターネットで試算できるサイト(→国民健康保険の自動計算サイト)があります。正確には国保の窓口などで確認するのが最適ですね。

目安として、前年の給与収入450万(他の収入や固定資産なし)の40歳以上の夫が退職し、扶養に入っている40歳未満の妻と子供二人もあわせて加入する場合で試算すると50,231円/月の試算結果になりました(高松市の場合)。給与収入を入力するときは、「給与所得の源泉徴収票」の支払金額の欄の数字(控除前の総支給額)を入力してくださいね。

POINT 

  • 前年の収入などを基準として保険料が決まるため、退職前の賃金等が高いほど保険料が高くなる。
  • 家族も被保険者になる場合、均等割額としてその負担もある。
  • 低所得者や解雇や倒産、雇い止めなどを理由に退職した人には保険料の減免制度がある。(市区町村により内容は異なる。)

ちなみに、協会けんぽ、または組合健保に加入していた方が国保に加入する場合は、健康保険の資格を喪失したという証明(扶養家族分も含む。書式の見本は、各国保のホームページ等に掲載されています。)が必要になり、退職した会社で証明してもらうことができます。また、会社より日本年金機構へ退職の事実が届けられていて、手続きが完了になっている場合は、最寄りの年金事務所でも証明することができます(協会けんぽに加入していた方の場合)。

【参考】

高松市の社会保険資格喪失証明書(記入例)はこちら↓
※早く手続きしたい方は、こちらを事業所に記載・証明してもらいましょう!

はこちら↓

日本年金機構(年金事務所)の被保険者資格取得・資格喪失等確認請求書(記入例) はこちら↓
※事業所が証明してくれないときは、年金事務所でこちらを発行することができます。
ただし、事業所が資格喪失届を年金機構に提出して、処理が完了した後でないと発行してもらえませんので、結構時間がかかります(;'∀')

プランB:在職中の健康保険を継続する(任意継続被保険者になる)

加入の条件:協会けんぽ、または組合健保に退職日まで2か月以上継続して加入していた人で、退職日の翌日から20日以内に加入していた協会けんぽや組合健保に手続きが必要。加入期間は2年間。

給付の内容:在職中と同じ(原則傷病手当金、出産手当金を除く。ただし、在職中に給付を受けていた場合の継続給付は一定の条件のもとで受けられる場合あり)。被扶養者も同様の給付を受けられる。組合健保などは独自の付加給付も引き続き受けられる。

保険料:これまで、事業主と折半して納めていた保険料が、全額自己負担になる(ただし、上限あり→POINT4つめへ)。被扶養者がいる場合の追加の保険料負担はなし。

POINT

  • 被扶養者を含めて退職前とほぼ同じ給付が受けられる。
  • 健診や保養所などの保険事業も、被扶養者も含めて退職前と同様に利用できる。
  • 退職日の翌日から20日以内に加入手続きをしないと加入できない。2年以内に再就職して他の健康保険に加入するなど以外は原則2年間加入。保険料が期限までに納められなかった場合も資格喪失となり、2年以内でも再加入はできない。資格喪失後は国民健康保険への切り替えが必要。
  • 保険料額は退職時の標準報酬月額で判断し、その保険料額を全額自己負担する。ただし、その健康保険全体の平均標準報酬月額が上限となっており、例えば一般の事業所が加入する全国健康保険協会の令和3年度の平均標準報酬月額は30万円のため、これより高い標準報酬月額であった方は、30万円の保険料額の負担となる。(香川県の場合、40歳未満などの介護保険料なしの方は30,840円/月、40歳以上65歳未満で介護保険料ありの方は36,240円/月)

【参考】全国健康保険協会に任意継続する場合の資格喪失証明書はこちら↓
こちらを事業所に記載・証明してもらうか、事業主が証明した退職証明書の写し、雇用保険離職票写し、資格喪失届の写し(年金機構に提出する前のものでOK)を持参して手続きしましょう。

プランC:健康保険加入者の家族の被扶養者になる

加入の条件:退職日の翌日以降、向こう1年間の収入見込みが60歳未満の方は130万円未満、60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害をお持ちの方は180万円未満で、同居の3親等内の健康保険(協会けんぽまたは組合健保)加入者の収入の半分未満で生計を維持されている状況にある。(別居の場合など、その他詳細な条件については扶養する方の健康保険へ確認してください。)

給付の内容:扶養する方が加入している健康保険の給付

保険料:負担なし

POINT

  • 保険料を負担することなく、家族の加入している健康保険の給付を受けられる。
  • 年収など一定の条件があり、基準となる年収には、年金や雇用保険の失業給付なども含まれる(退職前までの収入は除外)。
  • 家族が会社を退職するなどして健康保険を脱退した場合は、別の健康保険に加入する必要がある。

オフィスこころの所見

結局は自分の選択次第ですが、今後の生活プランをよく考えて、一番適切な健康保険に加入しましょうね。

結局どれがいいのかは、本人の選択次第ですが、医療費の自己負担割合も変わりませんし、給付の内容などに特に差がなければ、保険料の額で決められる方がほとんどだと思います。まず、同居している健康保険加入中の家族がいて、当面の間はその家族に生活の面倒を見てもらう予定の方は「3.健康保険加入者の家族の被扶養者になる」のが保険料がかからないので、経済的ですね。退職後の収入は、それまでに収入があったとしても、退職日の翌日以降、当面ゼロであれば、定期的収入は向こう一年間ないものとされ、扶養家族の認定が受けられます。ただし、60歳未満の方で、日額3,612円以上の失業保険を受けられるようになったときや、就職しないまでもアルバイトなどで収入が継続的に月108,334円以上になったときなどは扶養をはずす手続きが必要になります。また、日額3,612円以上の失業保険受給終了後、まだ就職が決まらず、再び収入が扶養範囲内になれば、再度申請を行い、被扶養者になることも可能です(全国健康保険協会の場合)。

とりあえずは、ご自身のお住いの市区町村の国保や加入していた健康保険の任意継続保険の給付内容や保険料のことなどについても、退職前に確認しておきましょう。

さいごに:手続きをほったらかしにするとどうなる?

う~ん、はっきり言って危険ですね。

「自分は健康で病院に行かないから保険は作らなくてよい」という考えの方もたまにいらっしゃいますが、健康保険は国民皆保険制度で、全国民が加入して支えあう制度です。万が一の事故や急病などの時に保険が使えなくなるばかりか、あとで申請してもその日から加入して大丈夫ということにはなりません。退職日の翌日以後20日過ぎるとそもそも任意継続は加入すらできませんし、国保については原則未加入期間については遡って加入になりますので、当然遡った月分の保険料も時効の2年以内であれば必要ということになります(市区町村によって取り扱いが違う場合がありますので、万一該当される方は市区町村にお尋ねください)。ご自身やご家族の安心のためにも、退職後はなるべく速やかにお手続するのが賢明ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように

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