【お役立ちミニ講座vol.27】来年度は改正になった育児介護関連の法令の施行ラッシュ!まずは若い世代の関心が高い育児関係の改正内容を一挙公開🌼
みなさんこんにちは、さすがに12月になると肌寒くなりましたね。これから年末まであっというまですが、風邪などでダウンしないように体調管理に気を付けたいと思います(^^ゞ
さて、前回まで3回シリーズで変形労働時間制を取り上げてきましたが、今回よりがらっと変わって、令和6年に改正になり、令和7年度から順次施行になる育児・介護休業法等の関連についてお話したいと思います!まずは今月は「育児関連」の改正からお話していきたいと思います。

それは聞いておかなくてはです!これから子育てするにあたっても、仕事と両立させていきたいと思っているから、自分が将来どんな感じで働けるのかイメージしておきたいです。

昨年は男性の育児休業がより使いやすくなったりして、男性の育児休業取得率も30%に上がっているそうです。人手不足の中、若い人たちができるだけ働きやすくなる仕組みを作るためにも、法改正の内容を知っておくことは重要ですね。従業員の立場としても知っておいて欲しいです。またこれに伴って育児介護休業規程なんかも改定する必要があると思いますので、役立つ情報を発信できればと思います。

法改正があるってことは規程も改定ですね!事業主さんに早めにお伝えしなくちゃ。

Contents

まずは、育児・介護休業法の改正内容を整理してみましょう【育児編】

【改正:義務】令和7年4月施行 所定外労働(残業)免除の対象が「3歳→小学校就学前の子を養育する労働者」までに拡大

請求があった場合に、所定外労働の制限(残業の免除)の対象となる労働者の範囲は、現行では「3歳未満の子を養育する労働者」になりますが、それが「小学校就学前までの子を養育する労働者」までに拡大されることになりました。

【改正:義務】令和7年4月施行 「子の看護休暇」が小学校就学前→小学校3年生まで 行事参加等も対象な「子の看護等休暇」に

「子の看護休暇」については、今まで「小学校就学前の子を養育する労働者」となっていたのが、「小学校3年生修了までの子を養育する労働者」に拡大されます。また、現行では、子の病気やケガ、予防接種や健康診断の場合が対象でしたが、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・卒園式・入学式が取得事由に追加されました。ですので、子の看護のためだけでないということで、「子の看護休暇」に名称変更されます。また、現行法では労使協定に基づき、「勤続期間が6カ月未満の労働者」を除外することができましたが、これは廃止されますので、小学校3年生までの子を養育する労働者は、勤続期間に関わらず、「子の看護等休暇」を取得できます。ちなみにこの休暇の日数は、対象となる子が一人の場合は5日、二人以上の場合は10日を限度とされており、日数には変更がありません。

子の看護休暇は先輩もよく使ってたなあ。小さい子は急に発熱したりするから、有給だけじゃ足りないし助かると言ってた。3年生までに拡大ならなお安心ですね。入園式や卒園式にも使えるなら、男性社員もこれ使ったらよさそう。

【新設:一部努力義務】令和7年4月施行 テレワークの活用推進

「育児のためのテレワーク」の導入が3歳未満の子を養育する労働者に関し、事業主が講ずる措置として「努力義務」になります。また労使協定により短時間勤務が困難な業務に従事する労働者を適用除外とする場合の代替措置として、現行では「育児休業に関する制度に準じる措置」と「フレックスタイム制、時差出勤、保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与など始業時刻の変更等の措置」の二種類でしたが、これに加えて「テレワーク」が追加されることになりました。これは、事業主は3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者が希望すれば短時間勤務制度を講じなければならないのですが、短時間勤務が客観的にみても困難な職種などの場合はその代替措置を設けて労使協定を締結することで育児のための短時間勤務を適用除外とすることができるのですが、その代替措置のひとつに新たに「テレワーク」が加わったということになります。

テレワークはこれから益々活用の場が広がりそうですね。短時間勤務を適用除外するためにテレワークという代替措置を設けるということですが、本来ならば適用除外を設けず、短時間勤務を講じることが一番望ましいと言えます。ただ、職種によっては短時間勤務も、その他代替措置のテレワークも始業時刻の変更等も困難であれば、「育児休業に関する制度に準じる措置」として3歳まで育休を取ってもらうという選択肢も考えられますね。この休業の場合、雇用保険の育児休業給付金は出ないのですが、社会保険料は引き続き免除になりますよ。

【新設:義務】令和7年10月施行 子の年齢に応じた柔軟な働き方をするための措置等←今回の改正のメイン事項!

今回の改正のメインテーマになりますが、事業主は「3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者」に関する柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務付けられます。事業主は以下の措置の中から「2つ以上」の制度を選択しなければいけません

措置名 具体的内容
A
始業時刻の変更
以下のいずれかの方法
①フレックスタイム制
②始業または終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
※変更する時間について制限はないが、保育所等への送迎の便宜等を考慮する必要あり
B
在宅勤務等の措置
以下の要件を全て満たす措置
①1日の所定労働時間を変更することなく利用可能
②所定労働日数が1週間5日の労働者→1か月に10労働日(最低限の日数であり、これより高い頻度で利用可能とすることが望ましい)
③時間単位で利用できるものであって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続して利用するものであること(中抜けは不可でOK)
C
短時間勤務の措置
1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むもの
(1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて設定することが望ましい)
D
新たな休暇の付与
以下の要件を満たす日数
①1年につき10労働日
②1時間単位で取得可能とし、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続して利用するものであること(中抜けは不可でOK、ただし中抜けを認める措置となるように配慮すること)
E
保育施設の設備運営他
保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配及び費用負担等)
※子ども家庭庁「ベビーシッター派遣事業割引券」の活用は該当しない。
※福利厚生サービスのカフェテリアプランの一環として社員がベビーシッターのサービス等を選択・利用できるようにしていることはこれに該当する。

また、事業主は、柔軟な働き方を実現するための措置として事業主が選択した措置について、労働者に対する個別周知を行い、面接等の意向確認の措置を行うことが義務付けられます。

なんか色々あるんですね!子供がいても、働きやすい仕組みがあるのは大変ありがたいです。これって男性にも適用されるんですよね。例えば妻も共働きで、自分も仕事が立て込んでしまっているときに、保育施設に預けられる補助なんかあったら良さそうかも。

そうね、男性にも適用されますよ。次にも述べるけどこれらの事項を男性社員にも女性社員にも等しく、個別周知して意向確認と意向聴取する必要があるので、制度改正前に予め、子育て中の従業員からどれがいいか意見聴取したほうが良さそうですね。義務では2つ以上ですが、もちろんそれより多いならなお良しです。法定以上の導入は助成金にも繋がる場合があるので、来年度の育児関係の助成金も早めにチェックしておきましょう!

【新設:義務】令和7年10月施行 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮等

事業主は、「妊娠・出産の申出時」のほか「子が3歳になる前」に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取と就業条件についての意向への配慮が義務付けられます。なお、個別周知や意向確認及び個別の意向の聴取等の様式については、厚生労働省ホームページに様式があるのでこちらを活用してくださいね。
【参考】個別周知・意向確認書、個別の意向聴取書記載例などの参考様式(厚生労働省ホームページ)

妊娠・出産の申出時の個別周知と意向確認についてはこれまでも必須でしたよね。これに加えて、その意向を労働者から聴取し、その希望ができるだけ叶えられるよう配慮することが義務になります。(労働者からの意向を全て叶えるようにするということでは必ずしもなく、あくまで配慮を行い、対応が困難な場合は、その理由を説明するなど丁寧に対応することが必要になります。)それと妊娠・出産の申出時だけでなく、先に説明した子の年齢に応じた柔軟な働き方をするための措置に関して、子が3歳になる前に、同じように個別周知と意向確認及び個別の意向の聴取と配慮が必要になります。

「子が3歳になる前」っていうのはどのくらいの時期なのでしょうか?

1歳11か月の誕生日翌日~2歳11か月の誕生日までに行うことになっています。施行が令和7年10月なので、来年の10月1日時点で2歳11か月に達する日の翌日を迎える子よりも小さい子がいる労働者はすべて対象になります。ちなみに、「妊娠・出産の申出時」は本人が申出したときですが、「子が3歳になる前」というのは、申出が無くても対象の労働者には全て個別周知や意向確認及び意向の聴取と配慮が必要になります。またこれは男女問わず対象になりますので注意してくださいね。

そうなんですか、男性社員にもあまねく確認するんですね。それはうちの会社の人事担当の人にも知らせとかないと!

【改正:義務】令和7年4月施行 男性の育児休業の取得状況の公表義務の拡大

雇用する男性労働者の育児休業の取得状況を公表することが義務付けられる企業の範囲が、現行の常時雇用労働者数が1,000人を超える企業から、300人を超える企業に拡大されます。ちなみに公表内容は、以下のいずれかになります。
①男性労働者の育児休業等の取得割合
②男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
【参考】2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます(厚生労働省リーフレット)

何だか盛だくさんですが、こちらのリーフレットに、改正内容が分かりやすくまとめられていますので、こちらでも確認してくださいね。
【参考】育児・介護休業法改正ポイントのご案内(厚生労働省リーフレット)

次世代法の改正もあり、常時雇用する労働者が100人を超える企業の 「一般事業主行動計画」策定時に数値目標等が必要に 

【新設】令和7年4月施行 一般事業主行動計画策定時に育児休業取得等に関する状況把握・数値目標の設定が義務付け、くるみん認定基準も変わる!

常時雇用する労働者が100人を超える企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。(100人以下の企業は、努力義務の対象です。)
①計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握等(PDCAサイクルの実施)
②育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定
なお、一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。

これに伴って、子育て支援に積極的な企業に与えられる認定である「くるみん」の認定基準についても、新しい基準ができるみたいですね。女性労働者の育児休業取得率は75%、男性労働者の育児休業取得率は30%、育児目的休暇を含むと50%が基準になるようですよ。

    雇用保険法に関する育児関連の改正もチェックしておきましょう:子の養育を支援する新たな給付金が新設されます!

    【新設】令和7年4月施行 出生後休業給付:夫婦が共に14日以上の育児休業を取得する場合に対象
    (28日を限度に育児休業給付と併せて80%相当額)!

    「出生後休業給付金」は、夫婦が共に14日以上の育児休業を取得する場合等に、28日を限度に、休業開始前賃金の13%を支給するものです。この給付により、休業開始前賃金の67%相当額を支給する育児休業給付と併せて、概ね休業開始前の手取り額と同額の給付(合計で休業開始前賃金の80%相当額)を受けられることになります。

    なるほど、今までの育児休業給付金と併せると80%だから、保険料や税金の控除を加味すると手取り賃金はおなじくらいってことですね。

    それに健康保険料や厚生年金保険料は休業中は保険料免除の上、給付や将来の年金には反映されるので、労働者にとっては休業前と何ら変わりのないメリットが得られるわけですね。例えば男性労働者に妻と協力してじっくり子育てできるよう、1か月近くの休業をとってもらうのがいいかもです。

    【新設】令和7年4月施行 育児時短就業給付:2歳未満の子を養育するために時短勤務をする場合、支払われた賃金の10%相当額を支給

    「育児時短就業給付金」は、2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金の10%相当額を支給するものです。

    今まで時短に関する給付金はありませんでしたが、今回新設になります。出産後に、時短で働く女性労働者は結構いますが、給与はその分引かれるのが通常です。ですので、その引かれた分の給与を補う給付金があるということは大変ありがたいことですね。もちろん男性も対象です。

    法改正で必要な育児介護休業等規程の改定も忘れずに!

    現在、厚生労働省のホームページには、新しい法改正に対応した簡易版の規程例が公開されています。制度を導入するにあわせて、規程のほうも改定しておくのがベストです。また労働者が10人以上の事業所は改定の届出も忘れずに行いましょう。
    【参考】育児・介護休業等に関する規則の規程例(簡易版)
    社内様式例:育児・介護休業申出書、育児・介護休業取扱通知

    オフィスこころでも法改正に対応した育児介護休業規程の作成を承ることが可能です。まだ、育児介護休業規程がないとか法以上の助成金を受給する場合にも対応した規程などを作成したいという事業所様は、ぜひご相談ください。Q&A方式で大枠の規程を作成し、そのあと事業所にあわせた規程をコンサルティングしながら作成します(オンライン相談可能)。

    オフィスこころの所見

    今回の改正も盛りだくさんですね。国全体で、子育て世代を応援していこうという土壌が年々できている感じです。ただ一方で中小企業では一人抜けられてしまうと、業務が回らなくなってしまうという声もたくさん伺います。大企業と一人でも抜けると大変な中小企業では同じように考えてはいけないのですが、中小企業でもなるべく働きやすい環境を整えるために、国が出している助成金を活用したりすることで、資金面的な解決の糸口が見つかることがあるかもしれません。社会的な問題でもあり、事業主だけで考えるのはおそらく大変でしょうから、そんなときは行政機関や国の助成金センターに相談したり、社労士を活用したり、誰かの手を借りて一緒に考えていくのが一番だと思います。

    いつも思うけど、育児関係の法律は度々改正されてわけわからなくなってしまいます。法定の措置は必ずしないといけないし、最近では従業員さんのほうが詳しくて、従業員から指摘されることも多いようです。そうならないうちに、前もって相談しておくのが一番だね。

    しろ吉さんは、よく事業主のお話を聞いているから事情を知っているのね(^^;)
    そうなのです。働きやすい職場であるかどうかは特に若い世代から見られている意識を持つことがこれからは大切になっていくと思います。働き手を確保することは企業の繫栄にとっても大事なことなので、後回しにせずその都度対応していくのがベストでしょう。また、最新情報ではこの改正法に対応できていない企業はハローワークの求人ができない?みたいなこともあるみたいです。ぜひ前向きに取り組んでみてください!

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