【お役立ちミニ講座Vol.7】すべての事業主、働く人必見!公的保険の手続きってどうなってるの?(Part1.労災保険と雇用保険)

みなさんこんにちは!秋晴れの日が続いて過ごしやすくなりましたね。さて、11月に入り今年もあと残すところ2か月。コロナも少し落ち着いて、新しい年に向けて人を雇う計画を立てたり、法人を立ち上げようとしている事業主様からの相談も増えています。そこで、今回は二回シリーズで、初めて人を雇い始めた時の労働保険社会保険の手続きについて総括的に説明していきたいと思います。

ぼくも今まで色んな会社、行ったけど保険に入ってなかったとこもあったなあ。。そのときは自分で国民年金を納めていたような(^^;)

そこってどんな会社やった?法人か個人事業か、また業種などで社会保険必須の事業所とそうでないところがあるけど、必ずしもすべてが法令通り、加入していないこともあるのが実情ね。事業主さんだけでなく、雇われる側にとっても必須の知識なので、なるべく分かりやすく説明していくわね!

有限会社だったけど、家族経営の小さな会社で雇われてたのは僕一人だったよ、それってどうなんかな?自分のためにも学びたい🌟

まずは労働保険 法人個人関係なく、原則「一人でも」労働者を雇い始めたら加入が必要!

Contents

労働保険って一体何?→労働保険は「労災保険」と「雇用保険」から成り立ちます。

労災保険…窓口は事業所管轄の労働基準監督署
主に業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。例えば、仕事中にケガをしてしまったら、その療養に関する費用は全て労災保険から出ますし、それで仕事を休まざるを得なくなったら、休業(補償)給付があります。また、もし障害が残ってしまったら、その程度に応じて年金や一時金が出ますし、万一お亡くなりになられた場合は遺族に対する給付もあります。通勤中の事故なども労災保険に入りますね。この他、定期健康診断で脳・心臓疾患を発症する危険性が高いと判断された方々に対して、脳血管及び心臓の状態を把握するための二次健康診断や特定保健指導を労働者の負担なく受けることもできます。

同僚が、通勤途中で交通事故にあって仕事をしばらく休んでた時に、「お給料はもらえないけど、労災保険からいつものお給料の8割のお金がでているんだ~」って話してたの聞いたことある。そういうことだったのか!
雇用保険…窓口は事業所管轄のハローワーク(ただし、失業後の被保険者は住所地管轄のハローワーク)
労働者が失業した場合や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活や雇用の安定を図ると共に、再就職を促進するための必要な給付を行うものです。また、失業の予防、労働者の能力の開発や向上、その他労働者の福祉の増進を図るための各種事業も行っています。育児や介護のために仕事を休んでいる期間の育児休業や介護休業の給付金も雇用保険の取り扱いになります。

僕も昔、ハローワークには一度お世話になったことあるよ。そのときは失業手当をもらいながら、3か月間ハローワーク指定のスキルアップのための職業訓練校に通ってたりしてたな。そのあと無事再就職できたんだけど、まだ失業手当の日数が残っていたから再就職手当という一時金ももらったような。ありがたかったなあ。もし会社が雇用保険をかけてくれていなかったら、何も補償もなく自分で職探ししないといけなかったってことだね(;'∀')

良かったわね、色々お世話になってるじゃない🌟

どんな事業所、どんな人が対象?

労働者(職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者)を一人でも雇用する事業所(※1)は、その業種や事業規模のいかんを問わず、任意加入の対象となる農林水産の事業の一部を除き、労働保険の適用事業所となります。また、労災保険の加入については全ての労働者が対象ですが、雇用保険は週20時間以上等などの条件があります(以下参照)。また、船員保険の被保険者、国や地方公共団体等の事業に雇用される人(いわゆる公務員)で労災保険雇用保険に代わる手当が受けられる人は対象外です。
(※1)労働保険はいわゆる経営上一体をなす企業単位ではなく、個々の支店や営業所、工場、事務所等のように、一つの経営組織として独立性を持った経営体を、一単位として適用することが原則となっています。

「労災保険」の対象労働者

常用、日雇い、パート、アルバイト、派遣等名称や雇用形態にかかわらず、労働の対象として賃金を受ける全ての者が対象となります。

「雇用保険」の対象労働者

労災保険の対象労働者とほぼ同じですが、短時間就労者については、以下の条件を満たす人が加入対象になります。

①1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であるこ

②31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

また、昼間学生や季節的に雇用される者であって、4か月以内の期間を定めて雇用される者または1週間の所定労働時間が30時間未満である者は除かれます。

なお、労災保険、雇用保険共に派遣労働者などは派遣元の対象労働者になるため、派遣元事業所が全ての手続きを行います。

労災保険の対象にはなっても、雇用保険の対象にならない場合があります(全員が週20時間未満の勤務、昼間学生のアルバイトのみ等)。その場合は、労災保険だけの手続きを行うことになりますね。

個人事業主の他、主に以下のような人は労働保険の対象になりません。

労災保険…代表権・業務執行権を有する役員、監査役及び監事(法令上使用人を兼ねる事を得ないものとされているが、事実上一般労働者と同様に賃金を得て労働に従事している場合は労働者として扱う。)

雇用保険…株式会社の代表取締役、取締役(ただし、取締役であって、同時に部長、支店長、工場長等の従業員としての身分を有する者は、就労形態、賃金、報酬等の面からみて労働者的性格が強く雇用関係があると認められる者は被保険者となる。)、監査役、合名会社・合資会社・合同会社の社員・有限会社の取締役(株式会社の取締役と同様に扱う。)、農業協同組合・その他法人・法人格のない社団もしくは財団の役員等

個人事業の事業主の同居の親族及び法人であっても実質的には代表者の個人事業と同様の場合の法人代表者の同居の親族(ただし、同居の親族であっても、同居の親族以外の労働者を常時使用する事業において、一般事務、現場作業等に従事し、業務を行うにあたって事業主の指揮命令に従っていることが明確であり、就労の実態や賃金の支払いも他の労働者と同様の場合は労働者として取り扱われる。)

【参考】労働者の範囲(厚生労働省作成)

役員で従業員としての身分を有する人や事業主の同居の親族で他の労働者と同様に扱われている人等が雇用保険に加入する場合、雇用の実態を確認できる書類等の提出が必要になります。

労働者でない事業主自身や一人で事業を行っている人も労災保険に加入できる方法がある?(特別加入制度)

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人については、任意で労災保険に加入することができます。これを労災保険の「特別加入」制度と言います。中小規模の事業の事業主や、その事業に従事する者のうち労災保険の対象とならない方(家族従事者、役員等)を対象とした制度です。なお、加入するためには、事業の労働保険の事務処理を「労働保険事務組合」に委託する必要があります。この他、労働者を使用しない一人親方、自営業者並びにそれらの事業に従事する方なども特別加入が出来る場合があります。

労働保険の成立手続きはどのように行ったらよい?

労災保険と雇用保険を一体として扱う一元適用事業所と、別々に扱う二元適用事業所(一般的に農林水産業、建設業等)で手続きが異なります。

【労災保険と雇用保険を一体として扱う一元適用事業所の場合(多くの事業所はこちらに該当)】

①保険関係成立届→管轄の労働基準監督署に提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)

②概算保険料申告書(※2)→管轄の労働基準監督署または都道府県労働局または金融機関/郵便局に提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)

(※2)当該年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額)を概算保険料として申告・納付します。

雇用保険の対象者がいる場合は①の手続きに続き、以下③④も必要。

③雇用保険適用事業所設置届→管轄のハローワークに提出(設置の日の翌日から起算して10日以内)

④雇用保険被保険者資格取得届→管轄のハローワークに提出(被保険者ごとに、資格取得の事実があった日の翌月10 日まで)

【労災保険と雇用保険を別々に扱う二元適用事業所(農林水産業、建設業等)の場合】

通常の事業所は一元適用事業所となりますが、例えば建設業などの場合、元請け事業所と下請け事業所があり、労災保険は元請け事業所がその建設工事に従事するすべての労働者(下請け事業所の労働者も含む)の分も掛けることになりますが、雇用保険においては、元請け事業所と下請け事業所がそれぞれの労働者を個別に掛けることになり、労災保険と雇用保険の適用を区別する必要があるため、保険料納付を一体に取り扱うことが出来ず、別々に届け出することが必要になります(なお、建設業の労災保険については有期事業と言って、あらかじめ事業の期間が決まった建設工事現場ごとに保険関係を成立させます。一方雇用保険については有期事業の取り扱いはしません。)。ただし、建設業であっても現場作業員以外の事務や営業の労働者については、現場の労働保険の適用を受けないため一元適用事業として手続きを行う必要があります。

「労災保険」にかかる手続き

①保険関係成立届→管轄の労働基準監督署に提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)

②概算保険料申告書→管轄の労働基準監督署または都道府県労働局または金融機関/郵便局に提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内※ただし、建設事業等の有期事業は20日以内)

「雇用保険」にかかる手続き

③保険関係成立届→管轄のハローワークに提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)

④概算保険料申告書→管轄の都道府県労働局または金融機関/郵便局に提出(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)(注)ハローワークでは受付できません。

⑤雇用保険適用事業所設置届→管轄のハローワークに提出(設置の日の翌日から起算して10日以内)

⑥雇用保険被保険者資格取得届→管轄のハローワークに提出(被保険者ごとに、資格取得の事実があった日の翌月10日まで)

【参考】労働保険の成立手続(厚生労働省作成)

労働保険料の仕組みってどうなっているの?事業主、雇われる人の負担は?

一般の事業所の労働保険料は労災保険料、雇用保険料、一般拠出金からなる

労災保険料労災保険に係る保険料。料率は54の事業の種類ごとに定められており、2.5/1000(通信業等)~88/1000(金属鉱業等)まで保険料率は異なります。全額事業主負担です。

雇用保険料雇用保険に係る保険料。料率は一般の事業で9/1000、農林水産・清酒製造の事業は11/1000、建設の事業は12/1000で、事業主負担と被保険者負担分からなり、事業主負担の方がやや多くなっています。(一般の事業所では事業主負担6/1000、被保険者負担3/1000)

以上二つをあわせて「一般保険料」といいます。どちらも、事業主が労働者に支払う賃金を基礎として算定します。また、毎月の給与から雇用保険料を控除する場合も実際に支払った賃金から3/1000(一般の事業所の場合)を雇用保険料として控除します。なお、賃金とは、賃金、給与、手当(通勤手当、住宅手当等も含む)、賞与など名称のいかんを問わず、労働の対象として事業主が労働者に支払うすべてのものをいいます。

一般拠出金いわゆるアスベストの健康被害者の救済に関わる拠出金で、アスベストの製造販売等を行ってきた事業主のみならず、全ての労災保険適用事業所が総支払賃金額の0.02/1000を負担します。一般拠出金は概算納付の仕組みはなく、確定納付のみの手続きになります。

例えば、一般小売業で手当や残業代込みの月給が20万円、一年間で年収240万円の被保険者であれば、労災保険料率3/1000と雇用保険料率9/1000のあわせて28,800円(事業主負担21,600円/被保険者負担7,200円)の一般保険料がかる見込みで、毎年の年度更新のときに、前年度の確定保険料を調整した全被保険者分の概算保険料を確定した一般拠出金とあわせて納めるようになります。雇用保険の被保険者負担分については、毎月実際に支払った賃金の3/1000にあたる600円を給与から控除することになりますね。

【参考】労働保険料率表(平成30年度より変更なし)

【参考】令和3年度の雇用保険料率について(厚生労働省作成パンフ)

労働保険料の納付の仕組みはどうなっているの? 継続事業か有期事業かで異なる/一般の継続事業の場合は毎年「年度更新」の手続きを行う

事業の期間が予定されていない「継続事業」の場合(例えば一般の工場、商店、事務所等が該当)
 労働保険の保険料は、その年度(4月1日から3月31日まで)における申告の際に概算で申告・納付し、翌年度の申告の際に、確定申告の上、清算することとしており、前年度の確定保険料(前年に概算で納付した額が確定保険料の額に不足する場合は、その不足額を納付し、逆に概算保険料の額が確定保険料を超える場合は、その超過額は事業主に還付されるか、又は当年度の概算保険料等に充当する。)と当年度の概算保険料を併せて申告・納付することになります。この毎年1回、原則6月1日から7月10日までの間に行われる手続きを「年度更新」と言い、労働保険料納付の一大イベントとなっています(概算保険料の金額が40万円以上または労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合などは分納も可能)。
事業の期間が予定されている「有期事業」の場合(例えば建設工事、ダム工事などの建設の事業、立木の伐採等の林業の事業が該当)

保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に保険加入の手続きを行い、概算保険料申告書を20日以内に提出し、概算保険料を申告・納付し、その工事が終わったときに、50日以内に確定保険料/一般拠出金申告書を提出して、保険関係を消滅させ、すでに申告・納付してあった概算保険料を清算します。なお、有期事業のうち、同一事業主が年間を通じて一定規模以下の建設事業や立木の伐採事業を一定地域内で行う場合は、それぞれの事業をまとめて一つの保険関係で処理する「有期事業の一括」の手続きが認められており、この場合は継続事業と同様に取り扱われます。

労働保険料は、社会保険料のように毎月納めるものではなく、年度ごとにまとめて納める仕組みですね。実際に労働者に支払った賃金を元にしますが、当年度についてはまだ賃金が確定していないので、「概算」で出した賃金の見込み額で一旦納付し、翌年度に賃金が確定したところで、「確定」で保険料を清算する仕組みになっています。これが、いわゆる毎年の「年度更新」ですね。

オフィスこころの所見

以上、労働者を雇った場合の労働保険の手続きについてざっと説明させていただきました。労働者にとっては、自分の労働生活に関わる大事な保険なので、もし加入していない事業所さんがありましたら、速やかに手続きを行ってくださいね。労災保険と雇用保険の手続き先が異なっていたり、業種によって取り扱いが異なっていたりと、事業主さんにとっては結構手間のかかる分かりにくい手続きとなります。また、最近では電子申請やワンストップサービスによる手続きも出来るようになっていますが、こちらはまた機会がありましたら改めてご案内しますね。

これらの手続きは次回説明する、社会保険の手続きとあわせて社労士に一任することもできますので、もし必要でしたらご相談ください!

次回は健康保険と厚生年金保険の加入についてです。こうご期待('◇')ゞ!!

最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように

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