みなさん、こんにちは🌟まだ日中の日差しは強いですが、夜には虫の音も聞こえてきたりと、大分秋っぽくなりましたね。今日は、20歳になった息子の国民年金、学生の手続きはしたんだけどあとで納める必要あるんかな~という疑問が寄せられたので、最初の手続きを含めて、その疑問を解決していきたいと思います。
ぼくも20歳のころ学生やったから、学校で手続きした気がするな。。そのあとは何にもしてないよ。
とりあえずは大丈夫と思うわよ。ちょっと以前と手続き方法が変わってるところもあるから、新しい情報とその先どうなるのか?どうしたらいいのか?まで踏み込んでお話するわね。
20歳になったとき、学生か会社員か扶養の配偶者かなどの状態で手続き方法が変わります!
①会社勤めや公務員などで厚生年金保険に加入中の方
①の方は20歳になったからと言って、何か手続きする必要がない方です。とりあえずそのままにしておけますが、もし20歳以上で退社などして、厚生年金保険の資格喪失となるとお住いの市区町村役場等で国民年金への加入手続きが必要になります。この場合は、厚生年金保険加入と同時に国民年金(第2号)にも加入していることになっていて、保険料は月収に応じた標準報酬月額や賞与支給額に応じた標準賞与額を元に算出されます。
②学生、フリーター、自営業の方など
①以外で日本在住の方(国籍関係なし)の学生、フリーター、自営業の方などは、20歳になりますと国民年金に加入することになります。
「国民年金加入のお知らせ」が日本年金機構より、20歳になってから約二週間程度で住民票のある住所地へ郵便で送られてきます。以前は、自分で加入手続きが必要となっていましたが、令和元年10月以降は、この時点で国民年金(第1号)への加入の手続きは終わっています。この封筒の中に、あわせて納付書も同封されておりますので、原則その納付書で毎月の保険料(令和3年度16,610円/月)を納めていくことになります(口座振替、クレジットカード納付などの手続きは別途可能)。県外の大学等に行って、住民票を移している場合は、実家のほうには届きませんのでご注意ください。
(この他、付加保険料といって、毎月400円加算して保険料を納めると、将来の老齢年金に付加年金額(年額)として「200円×付加保険料納付月数」が反映されるお得な制度があります。2年以上受け取ると支払った付加保険料以上の年金が受け取れるようになりますので、希望される方は別途、市区町村の窓口等で手続きが必要になります。)
③20歳の誕生日前日時点で厚生年金保険加入の配偶者の扶養に入っている方
②の方と同様、「国民年金加入のお知らせ」は届きますが、配偶者の会社等を通して国民年金(第3号)への加入手続きが必要になりますので、速やかに会社等へ連絡しましょう。なお、この場合は、国民年金の保険料負担は発生しません。また、付加年金の申し込みはできません。
以上を簡単にまとめてみましょう。
番号 |
加入する年金制度① |
加入する年金制度② |
保険料負担(本人) |
① |
厚生年金保険 |
国民年金(第2号) |
標準報酬月額による(8,052円~59,475円/月)
※この他、標準賞与額(最大1月150万円)にも保険料負担あり(9.15%) |
② |
- |
国民年金(第1号) |
毎月定額 参考:16,610円/月(令和3年度) |
③ |
- |
国民年金(第3号) |
なし |
①の方は、例えば将来、老齢年金を受け取るときに、加入した期間に応じた基礎年金+厚生年金が発生します。ただし、基礎年金部分は20歳から60歳までの加入期間に応じ、20歳前及び60歳~65歳までの加入期間の基礎年金に相当する額は厚生年金に加算されます(ただし、基礎年金部分とあわせて最大480月上限)。最大70歳までの加入となります。
②の方は、例えば将来、老齢年金を受け取るときに、保険料の納付済み、免除済み期間に応じた基礎年金部分の年金額が発生します。20歳から60歳までは強制加入となります。
③の方は、例えば将来、老齢年金を受け取るときに、加入した期間に応じた基礎年金部分の年金額が発生します。20歳から60歳までの加入となります。
親が保険料を納めた場合は、社会保険料控除が可能
生計を一にする子供の国民年金保険料を親が支払った場合は、その分を親の所得控除とすることができます。仕送りなどで成り立っている大学生のお子さんなどの場合に、親が代わりに保険料を支払って、将来の年金額に反映させることができます。ちなみに、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書は毎年11月ごろに、本人の住民票のある住所地に届きますので、年末調整・確定申告の際にこの控除証明書や領収証書を申告書に添付します。
保険料を納めるのが難しいときはどうするの?
保険料をたちまち納めることが難しいときは、ご自分で手続きする必要があります。以下、主に学生とそうでない場合の二通りの手続き方法を説明します。
学生の場合
「学生納付特例制度」という制度がありますので、その制度を利用して、保険料の支払いを猶予することができます。国民年金加入のお知らせの中に、
「国民年金保険料学生納付特例申請書」が同封されておりますので、必要事項記入の上、
学生証のコピー等を添付して、同じく同封されている返信用封筒で提出します。なお、学生とは
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。また、学校によっては、学生納付特例の申請を代行してできるところ(学生納付特例事務法人)もありますので、大学の事務局などで確認してください。
なお、手続きは年度ごと(4月から翌年3月まで)に必要となります(2年度目以降はハガキ形式の申請書が届きますので、引き続き在学中であれば返信して申請することになります)。猶予された期間については、老齢年金等の将来の年金額には反映されませんが、年金の受給資格期間には含まれることとなります。また、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めること(追納)ができます。
学生であっても、本人の前年所得が高い方(※1の基準額を超える方)は、申請することが出来ません。なお、家族の方の所得の多寡は問いません。
(※1)128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(以上のような方でも、新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由として、学生納付特例が申請できる場合があります。)
学生以外の場合
「保険料の免除・納付猶予制度」より、家族構成や前年所得を審査して保険料の支払いを免除・猶予できる場合があります。国民年金加入のお知らせの中に、
「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」が同封されておりますので、必要事項記入の上、返信用封筒で提出します。
保険料免除制度とは
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
保険料納付猶予制度とは
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
なお、学生の方は、「学生納付特例制度」が優先で、「保険料の免除・納付猶予制度」を利用することはできません。
免除が承認された場合、老齢年金等の将来の年金額には国庫負担分として一部(全額免除で1/2)が反映されます。ただし、一部免除でその保険料が未納になった場合には、年金額への反映はありません。猶予の場合は学生納付特例と同様です。いずれも、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めること(追納)ができますが、一部免除の未納者が追納する場合は、全額納付が必要になりますので、一部免除を受けたメリットを得ることはできません。
なお、前年所得が基準を超えている場合でも、新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由として、国民年金保険料免除・納付猶予を受けられる場合があります。
他に、追加で手続きが必要な方、可能な方
・
産前産後期間にある方→
出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(以下「産前産後期間」といいます。)の国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の国民年金保険料が免除されます。なお、産前産後期間は付加保険料の納付ができます。保険料が免除された期間については、保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。「国民年金被保険者関係届書」により、母子健康手帳のコピーを添えてお住いの市区町村の担当窓口等で手続きできます。
・
障害年金(2級以上)を受けている方や生活保護法による生活扶助等を受けている方→「法定免除」に該当します。全額免除の場合と同様、保険料の負担は発生しませんが、将来の老齢年金等の年金額には国庫負担分として1/2が反映されます。「国民年金被保険者関係届書」により、お住いの市区町村の担当窓口等で手続きできます。
・
退職された方→
「失業等による特例免除」を受けられる場合があります(本人と配偶者、世帯主の所得が審査されます。本人所得は失業によりゼロと見なされますが、配偶者、世帯主の所得が基準を超えると特例免除は受けられません)。
全額免除の場合と同様、保険料の負担は発生しませんが、老齢年金等の将来の年金額には国庫負担分として1/2が反映されます。離職票のコピー等をつけて、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」により申請することができます。
もし、手続きをしなかった場合どうなるの?
手続き別、受給資格期間への反映や年金額への反映のまとめ
|
老齢基礎年金の
受給資格期間への算入 |
老齢基礎年金の
年金額への反映 |
障害基礎年金、
遺族基礎年金の
受給資格期間への算入 |
納付または
産前産後期間免除 |
あり |
あり |
あり |
全額免除 |
あり |
一部あり |
あり |
一部納付 |
あり |
一部あり |
あり |
納付猶予
学生納付特例 |
あり |
なし |
あり |
未納 |
なし |
なし |
なし |
手続きを全くせず、未納になった場合には、将来受け取る年金額に反映されないのはもちろん、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができない事態が発生する場合があります。
例えばこんなショッキングな事例も起こりうる…
県外の大学へ進学したため、住民票も移して大学生活を満喫していたA子さん。20歳のときに、年金機構から届いた国民年金加入の案内も、学校の他、サークル活動やバイトに忙しく、軽く見ただけで、ほったらかしにしていて学生納付特例の申請もせず、もちろん納付書で納付もしていませんでした。親御さんも実家には封書が届かないので、何も気づいていませんでした。そのまま時は流れ、大学卒業の22歳のとき、卒業旅行に行った先で不慮の事故にあい、下半身不随になり、生活や仕事に大きな制限が出る状態になりました。障害年金の存在を後日知りましたが、当時保険料も納めておらず、学生納付特例も申請していないので、障害基礎年金の受給要件(初診日の前日において、その前々月までの被保険者期間に保険料納付済、免除、納付猶予済み期間が2/3以上、または直近一年間に未納期間がない)に当てはまらず、本来であれば受給できるはずの障害基礎年金(1級976,125円/年 令和3年度)が受給できなくなってしまいました。
それは泣き面に蜂やな…僕は幸い、何もなかったけど、学生納付特例の手続きしておいてよかった。
あのとき、忙しくても学生納付特例でも申請しておけば…というところだけど、あとで後悔しても仕方がないことになってしまうわね。「保険料を納めていない」という点では同じなのだけど、学生納付特例をしていたか、していなかったで、こんなにも差が出てきてしまいます。人生は万が一、何が起こるか分からないから、そのために、国が運営しているセーフティーネットですので、手続きはきちんとおこなっておきましょう!
追納をする必要はあるのか?追納しなかった場合は?(Q&A方式で回答)
学生納付特例をした場合、または若年者納付猶予となった場合などは、一旦保険料の納付は猶予されました。さて、それからですが、分かりやすくQ&A方式でまとめてみました。
Q.学生納付特例はしたけど、そのまま何もしなかったらどうなるの?
A.納付猶予された期間は年金額には反映されませんが、受給資格期間には算入されますので、万が一のことが起こったときにもとりあえずは安心です。年金額に反映させるために、10年以内であれば「追納」もできますが、もし「追納」をしなかった場合でも、ペナルティーはありません(ただし、追納のお知らせなどの勧奨状は届きます)。また、例えば社会人になってから追納で納めた場合、追納した期間は将来の年金額に反映される他、追納保険料は社会保険料控除として年末調整することで、所得税や、住民税が減額されるというメリットもあります。
Q.追納した場合、どれだけ年金額に反映されるの?1か月の保険料額は高いけど、元は取れるの?
A.480月満額の国民年金保険料を納めた場合、受け取れる老齢基礎年金の満額は780,900円(令和3年度)です。ということは1月あたり、780,900÷480=1,627円が年金額に反映されているという計算になります。1年だと1,627×12=19,524円、ざっくり言うと「国民年金保険料は1年間納めて約20,000円、将来の年金額が増える」というイメージになります。また、国民年金保険料は1月16,610円(令和3年度)ですので、何年で元を取れるかという視点で見ると、16,610÷1,627≒10.2で、65歳から受け取るとして約10年、75歳のときに元が取れるという試算になります。なお、3年度目以降に追納する場合は、加算金がつきますので、当時の保険料より若干高めになります。
Q.私の息子は医者になる予定で、将来報酬が高いから年金はどうせもらえないはず、追納しても関係ない?
A.お勤めの場合で、報酬が高くて年金が止まるのは、老齢厚生年金の部分です。もし報酬が高くて老齢厚生年金が全額とまったとしても、学生納付特例の期間は国民年金の期間で、将来は65歳から受け取る権利のある老齢基礎年金に反映される部分ですので、追納しても全く意味がないとは言えません。もし、追納した場合は、約10年で元は取れますし、年金の繰下げ制度もあり、75歳まで最大84%老齢基礎年金を増やしておいて、受け取ることも将来可能になります。また、追納保険料については、社会保険料控除の対象になりますので、所得税、住民税がそれにより減額されます。
【参考】国民年金保険料の追納制度
オフィスこころの所見
ほとんどの方が、年金制度に加入する第一歩となる20歳のとき、現在では加入手続きはすでに行われていますが、納付が難しいときは、それぞれの事情にあわせて、必ず「手続きをする」ということが必要です。住民票を別にされている場合は、親御さんも気づかない場合がありますので、不安な方は、お子さんにちゃんと手続きしたかどうか確かめておいてくださいね!
また、追納するかしないかについては、あくまで本人の自由ですので、Q&Aを参考にして、追納される場合は、早めに手続きしておきましょう!
fa-coffee最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように