【お役立ちミニ講座vol.14】働くシニア世代必見!働きながら老齢年金を受けるとき知っておきたいあれこれ(その2:主に65歳以上の人対象)📝

みなさん、こんにちは🌟7月はいろんなことが起こり、ざわついた世の中になっていますが、お元気ですか?暑さもピークに達しておりますが、こんなときこそ、こころを平静に保っていきたいですね🍀さて、前回は老齢年金を受け取りながら働いている65歳未満の方を対象に記事を投稿しましたが、今回は65歳以上の人を対象に、解説していきます!

ぼくの会社は60歳が定年で65歳までは再雇用制度があるみたいだけど、65歳以上については何も規定されていないよ。このままだと65歳以上になったら、同じ職場では働けないってことだよね?

そうねえ、多くの中小企業ではそんなふうにしているところが多いわね。65歳までの雇用確保の維持は、既に義務化されているのだけど、同時に70歳までの定年の引き上げや再雇用制度の導入を国は推奨しているところよ。なので、今は65歳までになっていても今後70歳までの雇用確保が義務化されたら、どんな企業でも70歳まで何らかの形で働けるようになってくるはずよ。

そっか、それは良かった。安心したよ。でもぼくはまだ若いから、転職する可能性だってあるし、起業する可能性だってあるし、親父の会社を引き継ぐかもしれないし(;´∀`)まずは、自分に必要なキャリアを磨いていくだけさ🌟

なかなかかっこいいこと言うわね(^^;)どんな働き方であるにせよ、老齢年金の受け取りは原則65歳からスタートなので、少なくとも65歳までは雇用確保を維持して、それ以降についても、働ける方は引き続き、年金を受け取りながら働きましょうということです。そんな方針もあり、今年の4月に年金制度も大幅に改正されました。今回は、主に65歳以上の人に焦点をあてて、どんなふうに現制度がなっているか、見ていきましょう!

Contents

65歳から老齢基礎年金、老齢厚生年金の受け取りがスタート!現在その年齢を迎える人の手続きはどうしたらよい?

厚生年金保険の加入期間が1年以上あり、既に特別支給の老齢厚生年金を受け取っている人は簡単なハガキ状の「年金請求書」を返送するだけ!

今まで厚生年金保険(H27.9以前の共済年金加入期間含む)に1年以上加入されている方で、特別支給の老齢厚生年金(60歳代前半の老齢厚生年金)を既に受給されているか、請求手続きを済まされている方には、65歳の誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に、はがき形式の「年金請求書」が送られてきます。それを65歳の誕生月(1日生まれの方は前月)の末日までに原則郵送で提出することになっています。なお、最初の手続きのときに加給年金の対象者がいると申告されていた方には、引き続き生計維持しているかの申し立て欄がありますので、その対象者の名前などを記載します。なお、この年金請求書には老齢基礎年金、老齢厚生年金の繰下げを希望することの意思を申告する欄もありますが、繰下げを希望しない方は、何も記載する必要はありません。また、老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰下げを希望する方は、そもそもこちらのハガキを提出する必要はありません。老齢基礎年金、老齢厚生年金のどちらか一方だけを繰下げ希望する場合は、希望する方に〇をつけておけば、希望しないほうの老齢年金は本来の65歳からスタートとなります。繰下げを希望した方は、66歳以降自分が希望するときに、原則年金事務所などに来所して、繰り下げの申出を行い、繰下げ請求の手続きをしていただくようになります。繰下げの注意点についてはあとで説明します(^^ゞ

【参考】65歳時の年金請求書ハガキ見本↓

特別支給の老齢厚生年金が未請求の人もしくは厚生年金の加入期間1年未満で、他は国民年金の納付済み期間等とあわせて10年以上ある人は65歳で初めての請求手続きを行います!

それでは、前回説明した特別支給の老齢厚生年金の受給権はあるが、まだ請求手続きをしていなかった人や、国民年金のみの加入や厚生年金保険の加入期間が1年未満などで65歳から初めて年金の受け取りがスタートする方はどうなるのでしょうか?その理由によって少し手続きが異なりますので以下説明します。

①特別支給の老齢厚生年金を請求していなかった人

本来の支給開始年齢のときに、「年金請求書(事前送付用)」がご自宅に届いているはずです。もし、何らかの事情で届いていない場合や紛失した場合でも請求書自体は、年金事務所等に行けばありますので大丈夫です。年金の時効は5年で、今からでも遅くありませんので、ご予約の上、年金の請求手続きを行いましょう。報酬が高くて特別支給の老齢厚生年金が全額止まってしまうような方でも、65歳からは老齢基礎年金がスタートしますし、こちらは在職には全く影響を受けません。また老齢厚生年金に関しても、報酬により在職支給停止の仕組みはありますが、経過的加算額など在職に影響を受けない部分もありますので、早めに手続きしておきましょう。また、繰下げを希望する場合も、本当に繰下げをしたほうがよいのか?いろいろな角度から検証したほうがよい(あとで概要を説明します(^^ゞ)ので、とりあえず、「権利はあるのに未請求の方」は、一度年金事務所等で相談してください。

②65歳で年金の受け取りが初めてスタートする方(10年以上の受給資格を満たしているが、国民年金のみの方または厚生年金保険の加入期間が1年未満の方など)

65歳のお誕生日月の約3カ月前に、緑色の封筒に入った「年金請求書(事前送付用)」がご自宅に届きますので、65歳の誕生日の前日以降に、原則お住いの管轄の年金事務所等でお手続きいただくことになります。郵送でも手続きは可能ですが、添付書類の不足などがあると、また郵送のやり取りになり時間がかかってしまうので、事前にご予約の上、必要な添付書類を確認して揃えて、窓口で提出するほうが確実です。

③65歳になってもまだ受給権が発生しない方(国民年金の保険料納付済期間または保険料免除期間と厚生年金保険期間をあわせても10年に満たない方など)

60歳のときに、その方の基礎年金番号に収録されている記録だけでは年金の受給資格期間が10年に満たない方には「ねんきんに関するお知らせ:年金加入期間確認のお願い」が届くようになっています。このような場合に確認するべきことはおおよそ以下のとおりです。

・基礎年金番号に収録されていない年金記録がないか?例えば旧姓のときに発行されていた別の番号での年金記録がある可能性はありませんか?
・例えば20歳から60歳までの間で、昭和61年3月までに厚生年金保険加入の配偶者であったり、平成3年3月までに昼間学生であったり、日本人の方で昭和61年4月以降に海外に在住していませんでしたか?その期間は本人は国民年金の任意加入期間であるため、「合算対象期間(通称カラ期間)」と言いまして、年金の金額には結び付きませんが、受給要件を確認するための期間としては足すことができる仕組みがあります。この他にも合算対象期間に含めることができる期間があります。【参考】合算対象期間(日本年金機構HP)
・昭和61年4月以降に厚生年金保険に加入の配偶者に扶養されていたが、国民年金3号期間の届け出漏れであった期間はありませんか?
・生活保護や障害年金2級以上を受給していた期間などは国民年金の法定免除期間になりますが、正しく記録が反映されているでしょうか?
・年金の社会保障協定の相手国で働いていた期間がある方は、それぞれの年金加入期間を相互に通算することができますが、その手続きは出来ていますか?

もし少しでも思い当たるふしがありましたら、一度年金事務所等で相談しましょう(婚姻期間を確認できる戸籍謄本などを持参するのがベストです)。また、60歳から65歳までの国民年金の任意加入、受給権を満たさない方の65歳以降の国民年金の任意加入(ただし昭和40(1965)年4月1日以前に生まれた人が対象)や60歳以降に厚生年金の適用事業所で働き厚生年金保険に加入することや70歳以降に厚生年金保険に高齢任意加入することによって、受給資格期間を増やす道もあります。年金の受給意思があるのであれば、なるべく早いうちに自分がどういう状況にあるかを把握して対策することが必要になります。
【参考】ねんきんに関するお知らせ:年金加入期間確認のお願いハガキ↓

その他豆知識①65歳以上で年金額が少ない非課税世帯の方は「年金生活者支援給付金」が受給できる可能性あり!

現在、65歳以上の方で以下を満たす方は、「年金生活者支援給付金」をあわせて請求することが可能です。

①65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
②同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が881,200円以下である。
※ただし、日本国内に居住し、年金が全額支給停止になっておらず、刑事施設等に拘禁されていないことが前提となります。
【参考】年金生活者支援給付金制度について(厚生労働省HP)
なお、上記に該当すると思われる方で65歳時点で既に、特別支給の老齢厚生年金を受給している方には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に、65歳以降の年金の請求書と年金生活者支援給付金の請求書が一体となった「年金請求書 兼 年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されています。また65歳で新規に老齢年金の受給権が発生する方には、誕生月の3カ月前に送られる「年金請求書(事前送付用)」とあわせて、年金生活者支援給付金の請求書が同封されていますので、あわせて手続きしておきましょう。これ以外にも、今まで課税対象者と同居していたが、世帯を分けて、新たに非課税世帯となった場合は、世帯分離した日以降に請求が可能ですので、上記の3つの条件に該当するようだったら、自分が請求できそうかどうか市町村役場で確認しましょう。なお、一度給付金の認定を受けた人は、毎年所得要件などを満たしているかが確認され、もし満たしていなければ確認を行った年の10月分から支給されなくなり、再度該当するようになった場合は、再請求が必要になります。

    その他豆知識②障害年金の受給権者は「年金受給選択申出書」の提出が必要!

    障害年金を既に受給している方に、65歳時に老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給権が出来た場合、以下のいずれかの組み合わせを選択することになります。

    ①障害基礎年金+障害厚生年金
    ②老齢基礎年金+老齢厚生年金
    ③障害基礎年金+老齢厚生年金

    障害基礎年金は、2級ならば基礎年金の満額、1級ならばその1.25倍なので、障害年金2級以上の方は、③の選択をするのが一般的ですね。この他、例えば障害年金基礎年金2級を受給の場合、年金生活者支援給付金も月額5,020円が確保されます(令和4年7月時点、ただし、前年の所得要件はあり。)

    なお、障害厚生年金3級のみなど障害基礎年金の受給権がない方は、「障害厚生年金」か「老齢基礎年金+老齢厚生年金」の選択になります(「老齢基礎年金+障害厚生年金」の組み合わせは出来ません)。

    その他豆知識③遺族厚生年金の受給権者は、老齢厚生年金が優先的に支給され、差額がある場合のみ遺族厚生年金として支給されます!

    遺族厚生年金を既に受給している方に、65歳時に老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給権が出来た場合は、ご自身の老齢厚生年金が優先的に支給されることになり、遺族厚生年金は、老齢厚生年金より年金額が高い場合に、その差額を受けることができます。65歳前のように、どちらか一方の年金を選ぶ選択届は不要になります。なお、遺族厚生年金より老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になります。また、65歳以降に新たに遺族厚生年金の受給権が出来た方も同様な仕組みになります。

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    65歳以上の方で遺族厚生年金がある場合の年金の受け取り方

    自分の老齢厚生年金の金額が高いほど、支給停止額が多くなるという、何故か働けば働くほど遺族厚生年金の金額が減ってしまう制度設計になっています(;'∀')逆にいいますと、一度も厚生年金保険に加入したことがなく、老齢基礎年金のみの方(ずっと国民年金3号被保険者だった方など)は、遺族厚生年金は全額受け取れることになります。

    働きながら年金を受け取るとき在職支給停止の基準は今までと変更なし!でも厳密に言うと65歳までと少し異なる点もあり。

    在職支給停止の基準は令和4年4月に、65歳未満の人も65歳以上の人も同じ基準に統一されました。詳しくは前回の【お役立ちミニ講座vol.13】働くシニア世代必見!働きながら老齢年金を受けるとき知っておきたいあれこれ(その1:主に65歳前の人対象)で説明しているのでそれを参考にしてください。
    ただし、65歳以上の人の老齢厚生年金は、報酬比例部分の他に、経過的加算額というのがあります。報酬比例部分というのは、65歳前までの厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)と同じ計算式を用いて65歳時点で再計算され、在職老齢年金の調整の対象になりますが、経過的加算額は調整の対象になりません。なお、参考までに経過的加算額は以下のような計算式を用いて計算されます(S21.4.2以降生まれの場合)。
    経過的加算額(令和4年度)=定額部分相当額(1,621円×厚生年金被保険者期間の加入月数)-厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額
    【事例研究✍】
    「20歳~22歳まで大学生で当時(H3.3月まで)任意加入のため国民年金加入なし、22歳で就職して、同じ企業で62歳で定年退職になった40年厚生年金保険加入の方」の経過的加算額はいくらか?
    定額部分(※)相当額 1,621円×480月(12カ月×40年)=778,080円…①
    厚生年金保険加入期間の老齢基礎年金の額 22歳~60歳までの38年間(456月)→777,800円×(456/480)=738,910円…②
    経過的加算額=①―②=39,170円
    (※)定額部分というのは、現在の年代の方では、単一の厚生年金保険で44年以上加入の方や障害年金3級以上の方で厚生年金保険に加入していない方が、65歳前に報酬比例部分とあわせて受け取れる年金のことで、実際に受け取っている人はかなり少数になりますが、簡単に言うと、厚生年金保険に加入期間中の老齢基礎年金に相当する額になります。この定額部分があわせて支給されていた方もそうでない大半の方も65歳になりますと、老齢基礎年金が支給されますが、老齢基礎年金は20歳から60歳までの期間のみで計算されるため、20歳前や60歳以後に厚生年金保険の加入期間がある方は定額部分よりも老齢基礎年金が少なくなってしまいます。それを補う意味合いで、65歳以降の方にはその差額を支給するものになります。ですが、定額部分の被保険者期間の上限は480月と定められており、40年以上厚生年金保険に加入しても定額部分の年金はそれ以上増えないことになっていますので、経過的加算額も40年以上厚生年金に加入している部分は反映されません。
    以上を踏まえ、報酬が高く、年金額が全額支給停止になる方も、支給停止になるのは、報酬比例部分のみなので、経過的加算額がある人はその部分については、老齢厚生年金が多少発生するということになります。そして、老齢基礎年金にはそもそも在職支給停止の仕組みはないので、全額が報酬に関わらず支給されます。
    ちょっと知っておきたいポイント🌼

    厚生年金保険に20年以上加入されている方が、65歳の時点で加給年金の対象者(年下で厚生年金保険の加入期間が20年未満または20年以上でも老齢年金の支給開始年齢に達していない人など)がいる場合、在職支給停止の仕組みにより報酬比例部分が全額止まってしまうと加給年金も支給停止になります。逆に報酬比例部分が1円でも発生すると加給年金の対象者がいる場合は、加給年金部分は支給されます(令和4年度は配偶者の場合388,900円/年)。また、厚生年金基金の加入期間がある方は基金の代行年金額も含めて、報酬比例部分が全額支給停止か一部支給停止か判断されます。

    令和4年4月年金制度改正により65歳以上の人で同時に厚生年金保険をかけている人に、年に1回の「在職定時改定」の仕組みが導入!

    厚生年金の適用事業所に勤めている方(フルタイムまたは週30時間以上勤務の方など)は、老齢年金を受給していても、70歳まで引き続き厚生年金保険をかけることになっています。今まで65歳時点での年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)が一度決定されると、在職の場合、退職するまで年金額は変わりませんでした。それが、令和4年4月から「在職定時改定」と言って、年に1回、老齢厚生年金の額を再計算する仕組みが取り入れられました。具体的に言うと、9月1日を基準日として、基準日の属する月前の被保険者期間を算入してその翌月の10月分から年金額が改定されます。以下、分かり易い図があるので参考にしてください。

    在職で厚生年金をかけるのは70歳まで!ただし、70歳以降も報酬が高い場合は在職支給停止の仕組みが適用されますので注意!

    在職で厚生年金保険をかける必要があるのは、70歳までなのですが、70歳以降も在職される方や引き続き代表取締役などの役員の方もいらっしゃいますよね?そのような方は、厚生年金保険をかける必要はなくなるのですが、年金との調整の仕組みは引き続き70歳前と同様に調整されるようになっていますので、お給料や役員報酬の高い方は、それによって報酬比例部分の全額または一部が支給停止になる場合があります。70歳以降も在職の方は、「70歳以上被用者」と言いまして、引き続き、報酬などを毎年報告する必要があり、また報酬が大幅に変更になった場合は、70歳前と同様に月額変更の届出が必要になります。ですが、例えば代表取締役などを退任されて、非常勤の役員になった場合などは、70歳以上被用者の資格は喪失(不該当)になり、それ以後は在職支給停止の仕組みは適用されなくなりますので、事業所での実態を確認して、喪失の手続きが必要であれば事業所より正しい届出を行っておきましょう。

    今年度から75歳まで繰下げできるようになったけど、繰下げしたい人はどうすればよい?

    繰下げすると年金額が増える→確かにそうなんですけど。。報酬が高い人、加給年金の対象者がいる人などはちょっと熟慮したほうがよいです。

    令和4年4月より昭和27年4月2日以降生まれの方は、75歳までの繰下げが可能になりました。老齢年金の繰下げについては、【お役立ちミニ講座Vol.5】年金の繰下げってどうなの?繰下げについて徹底解説でもお話しましたので詳細はそちらを確認してください。ここでは、改めて今日の話の流れに従って、注意するポイントに絞って説明します。

    繰下げで注意するべき方その①:厚生年金保険加入中で報酬が高く、在職支給停止になる人はココに注意!!

    これについては、65歳以降在職で報酬が高い人の繰下げを年金機構にありますシステム上で試算すると、「え、これだけしか増えないの?」という額が出て来まして、私も年金相談で「何故?」と聞かれるのですが、言葉ではうまく説明できなく、適当な資料もないので、概要を掴めるものを自分で作りました(;'∀')ようは、65歳以降70歳未満の間、厚生年金被保険者として働き、老齢厚生年金を繰下げした場合、在職老齢年金の仕組みで支給停止されなかった額のみを繰下げすることになるので、給与、賞与の平均と老齢厚生年金の報酬比例部分の毎月の合計額が多いために、年金支給停止額が高い人については、繰下げ対象額が少なくなるため、繰り下げするメリットがあまりないという結論に至ってしまいます。

    在職老齢の場合の繰下げの考え方

    ちょっとマニアック過ぎますが、在職老齢の場合の繰下げがどのように計算されるかを記載した資料になりますので、報酬が高く在職支給停止になりそうな方は参考にしてください。
    繰下げで注意するべき方その②:自分が厚生年金保険加入期間20年以上で、年下で厚生年金保険20年未満の配偶者、または20年以上でもまだ老齢年金の支給開始年齢になっていない配偶者がいる場合は、繰下げすると、加給年金も受け取り出来なくなりますよ!

    65歳で退職されたり、在職でも報酬がそれほど高くなく、在職支給停止にならない方は、加給年金を除く全部の老齢厚生年金額を繰下げ対象額として、1カ月繰下げすることで0.7%増やすことができるのですが、加給年金の対象者がいる方などは少し立ち止まって考えてください。本来65歳から加給年金の対象者がいた場合は、例えば配偶者ならば年間388,900円(令和4年度)が、その配偶者が原則65歳になるまでつくようになります(ただし、在職支給停止の仕組みにより、報酬比例部分の全額が支給停止になる方は配偶者加給年金はつきません。)が、繰下げするということは、その加給年金をその間受け取り出来ないことになります。1年間388,900円って結構大きいですよね?繰下げして増える金額はいくらになりましたか?加給年金がないと考えて、繰下げで元がとれるのは繰り下げた年齢から約12年後と以前説明しましたが、加給年金も加味して考えると、もっと先になってしまいます(;'∀')加給年金を捨てでも繰下げしたほうがよいでしょうか?年金は一人一人違うので、全ての方に当てはまるとは言えませんが、迷われる方は、一度年金事務所等で自分の実際の金額を試算してもらって、本当に繰下げするべきか考えてみましょう!

    また加給年金ほど金額は多くないですが、逆に振替加算(昭和41年4月1日生まれまでの方が対象)と言って、65歳になるまで配偶者の加給年金の対象であった方が65歳になり、自分の老齢基礎年金の受給権が発生すると、少し加算がつくものがあるのですが、そちらも繰下げすることで、その間受け取れなくなってしまいます。また、加給年金や振替加算は、繰り下げてもその額は増えることはありません。

    親父が65歳になったら繰下げして年金を増やすぞ~って意気込んでたけど、5歳年下の母親もいることやし、今のうちに教えてあげとかんとね(;'∀')まあまあ報酬高いらしいけど、報酬比例部分が全額支給停止にならないくらいの、役員報酬を設定すれば、加給年金も出るっていうことやね。
    【最終結論】繰り下げは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に考えることができます。例えば、老齢厚生年金の繰下げにメリットを余り感じなかったら、老齢基礎年金のみ繰り下げすることも可能です。とは言っても一人一人状況は異なるので、繰下げを検討される方は、繰下げ前に一度年金相談してみましょう!

    オフィスこころの所見

    今回も、盛りだくさんな内容になってしまい恐縮します💦全然ミニじゃないですね。。65歳以降の年金で注意すべきところは大体網羅できたかと思いますが、やはり年金はひとりひとり違いますので、「自分の場合はどうなのか?」気になる方は、ぜひ年金事務所等へ確認しに行ってください🌟特に繰下げされる方や報酬が高く、年金との調整がありそうな方などは、一度請求前に確認しておくのがベストです。

    さすがに今日は頭がこんがらがったな(;''∀'')親父には概要を説明して、あとはそのときになったら年金相談に行ってもらうよ。

    そうね、それが一番だわね🌟個人差はありますが、今の65歳の方はまだまだ若く、働いている方もたくさんいらっしゃいます。今後定年年齢も引き上げられていくでしょうし、年金+働いた分の報酬というダブルの収入源で、生活を安定させていく方が増えていくでしょうね。もしかしたら、今後年金の支給開始年齢が引き上げになる可能性もなきにしもあらずですが、若い世代も今から長いスパンで、働き方や収入源を考えていく必要がありそうです。

    最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように

    🌷Pickup【お役立ちミニ講座】