
みなさん、ご無沙汰してました💦年度末年度初めの手続きや報告業務が盛りだくさんで、しばらくホームページに手を付けられていませんでした。お役立ちミニ講座も3か月ぶりですが、今日はいつかはしっかりお伝えできたらいいなと思っていた「変形労働時間制」について、解説できればと思います。
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1か月単位の変形労働時間制の基本的仕組みを理解しよう!
【基本】1か月単位の変形労働時間制とは
※常時使用する労働者が10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業
そうしましたら、具体的にこの変形労働時間制を導入するにはどういった手続きが必要なのか見て行きましょう。
1か月単位の変形労働時間制を導入するために必要なこと
なお、常時使用する労働者が10人以上の事業場は就業規則の作成・届出は必須となります。10人未満の事業場でも就業規則に準ずる規程が必要です。また、労使協定を締結して定める場合は、労働者の人数に関わらず、所轄の労働基準監督署への届出が必要になります。
①対象労働者の範囲
対象労働者の範囲については制限はありません。同じ事業場でも適用になる人とならない人を定めても大丈夫です。
②対象期間および起算日
対象期間および起算日は具体的に定める必要があります。なお、対象期間は1か月以内の期間に限ります。
例:毎月1日を起算日とし、1か月を平均して1週間当たり40時間以内とする←給与計算の起算日に合わせるのがベスト。
③労働日および労働日ごとの労働時間
シフト表や会社カレンダーなどで、②の対象期間すべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。その際、②の対象期間を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間(特例措置対象事業所は44時間)を超えないように設定しなければなりません。具体的な勤務日、勤務時間は事前にカレンダーなどで通知するにしても、就業規則や労使協定書には対象期間中の1週平均の労働時間、各日の始業・終業時刻(パターンがある場合は全て)、休憩時間、休日等を定めておく必要があります。
④労使協定の有効期間
1か月単位の変形労働時間制を適切に運用するためには、1年~3年以内程度に設定するのが望ましいです。
⇒労使協定を締結する場合は、必ず届出が必要になりますが、有効期間をいつまでにしているか確認が必要で、期間更新の度に届出が必要になります。
(ただし、労働者10人未満の事業所で就業規則のみで定める場合は特に届出の必要はない。)
【参考】1か月単位の変形労働時間制 協定書記載例(福井労働局HP)
労働時間の計算方法
✅上限時間の計算方法
上限時間 = 1週間の労働時間40時間(特例措置対象事業場44時間)× (対象期間の暦日数/7)
通常は対象期間を1か月とするので、その場合の上限時間は以下のとおりになります。
【対象期間が1か月の場合の上限時間】(単位:時間)
週の法定 労働時間 |
月の暦日数 | |||
28日 | 29日 | 30日 | 31日 | |
40 | 160.0 | 165.7 | 171.4 | 177.1 |
44 | 176.0 | 182.2 | 188.5 | 194.8 |
割増賃金の支払(1か月単位の変形労働時間制での「法定時間外労働」はどの時間になるのか?)
✅①1日については、8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日(※)は8時間を超えて労働した時間
※なお、ここで所定労働時間を例えば1日7時間20分とした日について、7時間20分から8時間までの働いた時間は「所定時間外労働」となり、その部分は通常の時間単価の賃金(割増は不要)の支払いが必要になります。
✅②1週間については、40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えて労働した時間 (ただし、①で法定時間外労働となる時間を除く。)
✅③対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(ただし、①または②で法定時間外労働となる時間を除く。)
1か月単位の変形労働時間制をうまく活用するためにどうしたらよいか。何よりもきちんと管理ができるかが大事。
問題①予定をどのように立てるか?
予定については、とりあえず1か月単位のシフトを事前に組むことが大前提なので、予定を組む際に、所定労働時間が月単位で1か月の総枠を超えないように気をつけることが第一です。1日の所定労働時間が一定のところは事前に1日何時間(パターンがあればパターンを設定)、月の休日が何日というのを決めておくと労働者にもわかりやすいし、カレンダーも作成しやすいと思います。静岡労働局のホームページで各月の休日日数と所定労働時間を定める労働時間チェックカレンダーがありましたので、有効に活用してみるのもよいかもです。
【参考】変形労働時間チェックカレンダー(静岡労働局HP)
問題②時間外(所定時間外、法定時間外)労働時間をどのように効率的に正確に集計するか?
あまり時間外労働が発生しなさそうなところは、それほど大変ではないかもしれないですが、時間外労働がよく発生しそうなところは、自力で集計しようとすると3段階で見る必要があり、正直大変かもしれません。時間外労働時間が給与計算結果にも響いてくるので、間違ってはいけないところになります。エクセルの関数なども利用して、正確な集計が行える方法を考えましょう。
①②とも効率よく解決できる方法として、勤怠管理システムの導入を推奨します!
この二つの問題を一度に解決できる方法として、オフィスこころではking of timeという勤怠管理システムの導入を提案しました。一人月額330円で「シフトパターンの作成から毎月のシフト組み~労働者の勤怠打刻~時間外労働などの集計~給与計算」までをシステム管理でき、従業員もスマホなどで打刻してスケジュールや労働時間の確認ができるものになります。オフィスこころも、もしタイムカードのみを渡されて、この1か月単位の変形労働時間制の給与計算をお願いしますと言われたら、自力で集計するのはお断りするかもです(;'∀')勤怠管理システムですと、予め1か月単位の変形労働時間制の設定をしおくと、打刻した時間に対し、対象期間単位で何時間が時間外労働にあたるか?が自動的に集計されるので、日々の勤怠時間の確認をしておけばあとは機械にお任せということが究極にはできるのです。もちろん、機械計算+目視確認でより間違いのない給与計算を行うのがベストであります。人間が一から集計を行う人件費よりもはるかに安くつくと思いますので、導入を検討される事業所様は勤怠管理システムの導入とセットで行うことをお勧めします。