【お役立ちミニ講座vol.22】お亡くなりになったときの年金関係の手続きについて総まとめしてみます(その1 未支給年金)

みなさん、こんにちは🌼今年もあっという間でしたね。オフィスこころでご依頼をいただいたものをひとつひとつ片づけておりましたら、知らない間に年末になってしまいました💦お役立ちミニ講座も久しぶりの更新になってしまいましたが、今回はちょうどこの寒い時期に増加するお亡くなりになったときの年金の手続きについて2回シリーズで解説したいと思います✍

今回は久々の年金関係の話だね。実は先月ぼくのおじいちゃんが亡くなったばかりで、おばあちゃんが僕の親父と一緒に年金事務所に手続き行ってたよ。おばあちゃんには「未支給年金」っていうのと、「遺族年金」が少し出るみたいで、金額の見込みも知らせてもらったみたい。

そうなの、それは良かったわね。おばあちゃんも悲しみに暮れる間もなく手続き大変だったでしょうね。人が亡くなると、年金だけに限らず相続や税金やお墓のことや色んな手続きが発生するからしばらくはバタバタしてしまいます。また、年金については亡くなった人や遺族の年齢、子があるかなしかによっても年金額や手続きが変わってくるから、そのあたりをわかりやすくお伝え出来たらと思いますが、まずは「未支給年金」からお話しますね。

年金を既に受給されている人が亡くなった場合、年金は「亡くなった日が属する月分まで」発生するのですが、死亡後に支払われる年金は、口座も凍結されおり、本来は支払えないものになります。ただし、亡くなったときに生計同一関係がある遺族がいたら、その遺族に支払うことができるとなっています。なお、日割りはないので、1日に亡くなっても、末日に亡くなっても同額の1か月分の年金が発生することになり、例えば12月28日に亡くなったとすると、年金は偶数月の15日、受け取る月の前2か月分の年金が支払われることになっているので、11月分までは定期支払の12月15日に支払い済み、12月分のみが生きていれば来年の2月15日に支払われるところを死亡後であるため、本人口座に振込はできないので、遺族が指定する口座に後日支払われるという形になります。その遺族の範囲は以下のとおりです。

未支給年金を請求できる遺族の範囲

1 配偶者(事実婚含む)
2 子
3 父母
4 孫
5 祖父母
6 兄弟姉妹
7 上記の者以外の3親等内の親族
※遺族年金と違って年齢は問いません。また、上位のほうが先順位者となり、同順位の人が二人以上いた場合は、1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなされます。以下、厚労省が作成している遺族の範囲のわかりやすい表になりますので、具体的に知りたい方は参照してください。
遺族の範囲
なお、死亡後に口座が凍結されておらず、未払いの年金が死亡後に払われることがあります。その場合は、未支給年金として支払われるものがないということになるのですが、生計同一の遺族が請求書を提出されないと、遺族宛に年金機構より支払った年金の返納依頼が来ますので、既に支払われている場合も手続きは行っておきましょう。

ちなみに「生計同一関係」ってどういうこと?

そうね、基本一つ屋根の下で生計を共にして暮らしている、二世帯だけど同一の住所などは生計同一とされるわね。ただし、別居でも生計同一ということもあります。例えば、施設に入っている親御さんに衣類や食事などを買って持って行っていたりした場合などです。その場合は、「生計同一に関する申立書」という書面にその具体的な状況を記載し、第三者に証明してもらう必要があります。以下を参考にしてください。

【参考】生計同一の認定要件

① 亡くなった方と住民票上同一世帯に属していたとき
② 亡くなった方と住民票上世帯を異にしていたが、住所が住民票上同一であったとき
③ 亡くなった方の住所が住民票上異なっていたが、次のいずれかに該当していたとき
ア 起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていたと認められるとき
イ 亡くなった方に対して生活費、療養費等の経済的な援助が行われていたこと、または、亡くなった方から生活費、療養費等の経済的な援助が行われていたこと など
③の場合は、未支給年金の請求書以外に以下の書類が必要になります。

今回は、住所が一緒のおばあちゃんがいたから、この申立書は必要なかったみたいだね。もし、遺族が別居の子しかいない場合なんかにはこれが必要になるんだね。

今日も勘が冴えてるわね(^^;)未支給年金に必要となる添付書類については、死亡者との関係性がわかる戸籍謄本または抄本(法定相続情報一覧図の写しも可)は絶対必要で、また生計同一や死亡日を確認するものとして住民票や亡くなった人の除票を省略する場合は、請求者のマイナンバー、通帳等振込先の分かるもの、あれば亡くなった人の年金証書等が必要になります。亡くなると市役所にまず手続きされると思いますが、そのときに必要な書類等は案内されます。ちなみに、死亡者の甥、姪など関係性が遠くなるほど、戸籍で遺族がどうかを確認するため、改正原戸籍なども取得していただく場合があります。相続のときにも基本必要になるものなので、早めに準備しておきましょう。

「もし生計同一関係にある遺族が全くいなかった場合(未支給年金は請求せず、死亡届のみの提出となった場合)はどうなるのか?」ですが、死亡後に口座が凍結されておらず振り込まれた場合などは、返納が必要になってくるので、死亡届の記載や戸籍等で確認できる遺族に日本年金機構から案内が来るような仕組みになっています。

素朴な疑問①未支給年金請求時に、まだ請求していない年金があったとしたらどうなるのか?

未支給年金請求時に、「まだ死亡者が65歳以降の年金を繰り下げ待機中で請求していなかった」「年金を請求することができると知らず請求していなかった」とか「過去に働いていた期間の年金記録が見つかった」などがあります。そのような場合、本人は既にお亡くなりになっており、本人には支払うことができませんが、未支給年金を請求できる遺族は、「自己の名で」未支給年金を請求することができます。ちなみに繰下げ請求は本人しかできませんので、亡くなるまで請求していなかった場合は、その遺族が65歳からの本来請求で老齢年金を請求することになり、過去5年分は時効になりますが、5年以内の未払い分は、その未支給年金の請求者に一括で支払われることになります。なお、老齢年金の他、障害年金や遺族年金等についても未支給年金の対象になる場合があります。また、年金記録が新しく見つかった場合などは、死亡者の老齢年金の金額が過去に遡って訂正されることになるのですが、その場合、死亡者に生存中に支払えていなかった差額分を、未支給年金を請求する遺族が一括で受け取ることになります。なお、平成19年7月7日に制定された年金時効特例法により、漏れていた年金記録が見つかって、既に受給済みの年金が過去に遡って増額になる場合などは、時効消滅分も含めて全期間支払われるようになっており、未支給年金として請求された場合も同様になります。
【参考】年金時効特例法について(広報チラシ)

本来は亡くなった人が受け取るはずの年金だったのに、生存中には受け取れず、遺族に行ってしまうのか~。なんか本人にとっては気の毒だなあ💦

過去の年金記録については、生存中に本人に確認できれば良かったのですが、稀にこのような場合もあります。年金記録問題のときに、総点検されているので、大分少なくはなっていますが。ですが、過去に働いていた期間の年金記録があったとしても、その会社名などが答えられないと、本人の記録である確証がとれなく、年金記録に結び付けられないことになっています。よくあるのは女性が旧姓だったときに働いていたところの年金記録が、結び付いていなかったりしますが、脱退一時金を受けていて増額に結び付かない場合もありますので、必ずしも遡及の支払額があるとは限りません。

素朴な疑問②未支給年金は相続、税金にどう影響してくるのか?

まず、未支給年金が「相続財産にあたるのかどうか?」ですが答えは「NO」です。先に述べたように、未支給年金は、死亡者の遺族が、自己の名で請求するものであり、死亡者に係る相続税の課税対象にならず、支給を受けた遺族の一時所得に該当することになります。亡くなった月分の年金の未払いだけでしたら、そんなに大きな額にはなりませんが、未請求の老齢年金があるとか、過去の年金記録が見つかった場合などは思いがけず、高額の未支給年金を受↓け取ることもあります。相続財産からは除くとともに、受け取った遺族の方は、一時所得として申告が必要になることを覚えておきましょう。(ただし、一時所得については支給金を受け取る年分において、その支給金を含む一時所得の金額の合計額が50万円以下である場合には、確定申告は不要です。また年末調整した人は、その年末調整を受けた給与以外にほかに所得があっても、その他の所得等が年間20万円以下ならば、確定申告は不要とされています。詳しくは税務署に個別具体的に確認しましょう。)
なお、未支給年金請求と同時に死亡届を提出するのですが、相続人(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)が提出した場合、約2~3か月後に日本年金機構より準確定申告用(相続人は相続の開始のあったことを知った日の翌日から4カ月以内にその申告をしなければなりません。これを準確定申告といいます。)の源泉徴収票が送られますので、それも忘れずにチェックしておきましょう。

その他、未支給年金の概要や手続きの仕方について記載された厚労省作成のパンフレットがありますので、参考にしてください↓
【参考】未支給年金お手続ガイド

オフイスこころの所見

今回は、お亡くなりになったときの、「未支給年金」の手続きについて解説してみました。亡くなった人の最後の年金ということになりますが、配偶者がいない場合は、別居の子や親族が面倒を見ていたり、施設に入っていたりと色々なパターンがあります。また、請求できる遺族の範囲が、平成26年4月に「3親等内の親族」が加えられ、対象範囲が広がり、例えば死亡者の甥、姪やその配偶者も請求できるようになっています。ただし、大前提として生計同一関係がないと遺族の範囲にあっても請求できませんので、そこはご注意くださいね。配偶者、子がいない場合などは年金に限らず、生前から相続対策も含めて亡くなったあとに親族等が困らないように、今のうちにトータルで考えておくのがベストですね。
🌷Pickup【お役立ちミニ講座】