【お役立ちミニ講座Vol.18】事業主様必見!就業規則を自社で作成または専門家に依頼する前に一度は見て欲しいあれこれ🌟

皆さん、こんにちは!まだまだ寒い日もありますが、春っぽい日差しが感じられるようになりましたね。オフィスこころの小さなオフィスには、ちょっとした生花を飾るようにしていているのですが(ホームページの端っこのほうに、毎週バージョンアップしたお花を密かに載せています🌼)、今週は小さな桜の枝がラインナップしました🌸暖房が常時入っているせいか、蕾からすぐ開花して、今満開になっています。

さて、今回のお役立ちミニ講座は、ズバリ「就業規則について」です。皆さんの事業所には就業規則はありますか?いわゆる会社と従業員の間のルールブックみたになものになりますが、働いている方だったら、会社にあっても読んでいないという方、また事業主様だったら、うちは人数少ないから作ってないよという方も多いのではないのでしょうか。実はとっても重要な役割を果たす就業規則なのですが、今回は就業規則を作るにはどうしたらよいのか?について、社労士目線で答えていきたいと思います!

初めまして、自称:中小企業事業主お助けわんこの「しろ吉」です!僕は、常日頃、本業の他に、人事労務関係や業務効率化で頭を悩ませている中小企業の事業主様をお助けするためにこの世に生まれてきました🌟どうぞよろしくお願いします!

わあ、何て忠実なわんこちゃん!ありがとう、それは凄い使命やね🌟ぜひその使命をこれから果たして行ってね🌷
オフィスこころも事業主様からのご依頼で就業規則作成のお手伝いをしていますが、皆様、作る動機は様々です。法人を立ち上げたばかりだけど、人を雇用するにあたり作っておきたいという意識高い系の方、何年か事業をしていて、助成金受給のために昔作った就業規則はあるけど、法改正もあって大分古くなっているので、この機会に綺麗に整えたい方、自分達だけで就業規則を作ろうとしているけど、これでちゃんと大丈夫なのか確かめたい方など動機は様々です。事業所様の規模、雇用形態により、ボリュームや内容も様々になるのですが、今回は基本これから就業規則を初めて作ってみたい方に対して、社労士目線でお役に立つ情報を提供できればと思います。

僕もこれからたくさんの事業主さんをお助けしたいので、色々聞きたいこと沢山です🐶

Contents

就業規則とは会社と従業員を守るためのルールブック、どんなことが記載されているのか?

 絶対的必要記載事項:必ず記載しなければならない内容は?

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
②賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由も含む)

なるほど、これは働き始めたら絶対気になるところだよね。僕の会社にもあるはずだけどどこにあるんかな。。

10人以上の会社だから絶対あるはずだけど、従業員がどこにあるか知らないってのは問題よね。明日出社したらどこにあるか聞いておいた方がいいわよ(;'∀')

 相対的必要記載事項:定めをする場合に記載しなければならない事項

①退職手当に関する事項
②臨時の賃金(賞与)・最低賃金額に関する事項
③食費・作業用品などの負担に関する事項
④安全衛生に関する事項
⑤職業訓練に関する事項
⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦表彰、制裁に関する事項
⑧その他、全労働者に適用される事項

色んなルールが記載されているんだね、きちんと見とかないといけないなあ。。退職金ってうちあるのかなあ。予めどれくらいか分かっておいたら気の持ちようも違うような。。逆にもし退職金がなかったら、今後のこと考えんといかんかなあ。

相対的記載事項は、事業所が自由に定めをして記載する部分になりますが、例えば最近では、テレワークが多くなってきたので、テレワークに関しての費用負担や就業のルール、またどんな場合に副業や兼業をしてもよいのかなど副業・兼業に関する取り決めの記載も増えています。もし、これらの定めをしていなかったら、容易に従業員から疑問、質問があふれてくると思うので、従業員から言われる前にきちんと就業規則に定めておくことが理想的ですよね。

就業規則はひとつにまとめないといけないのか?「就業規則本則」+「賃金規程」+「育児・介護休業等規程」の3点セットが基本のパターン

就業規則は、基本すべての労働者についての定めをすることが必要になりますが、例えばパートタイム労働者など通常とは違う労働条件を定める場合は、一部の労働者のみに適用される別個の就業規則を作成することも可能です。また、育児・介護休業やハラスメント防止のための措置などの、他の法令で導入が義務付けられた制度は就業規則にも記載しなければなりませんが、実際には、育児・介護休業関係の規定などは膨大にあるので、別規程として設けているところがほとんどになります。また、賃金規程も事業所独自のルールがあるのと、従業員にとっても分けて作成しておいたほうが見やすいので、別規程で設けているところが多いですね。
【参考】就業規則における育児・介護休業等の取扱い(厚生労働省HP)

このあたりは、必ずこうしなければいけないというルールはないので、事業所の規模や雇用形態によってどのように作るのがベストになるのかを予め考えて作成に取り掛かると良いでしょう。

就業規則は絶対作らなければいけないの?作ったらどうしたらいいの?

常時10人以上の労働者がいる事業所は、付随する別規程も含めて全て労働基準監督署への届出が必須!また、変更の都度、届出が必要!

労働基準法で常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、所轄の労働基準監督署に届出なければならないとされています。また、就業規則の一部を独立させた別規程を作成している場合は、それもあわせて届出が必要になります。さらに、一度提出した就業規則の内容を変更した場合は、意見書の他に新旧対照表などもあわせて、同様に届出が必要となります。

Q&A①「常時10人以上」ってアルバイトやパートの人も入るのですか?

いわゆる正社員の他、アルバイトやパートなど直接の雇用契約を結ぶすべての労働者を含みます。ただし、派遣元から来ている派遣社員は含まれません。一時的に10人未満になることがあっても、常態として10人以上雇用しているのであれば作成が必要です。また、10人未満の事業所は届出は不要と言っても、労働条件や職場で守るべき規律などをめぐる事業主と労働者の間の無用の争いごとを未然に防ぎ、働きやすい職場作りに寄与するという役割から考えても、作成しておくことが望ましいです

従業員の少ない事業所こそ、トラブルも起こりやすいともいえるし、作っておいた方がよさそうだなあ。
Q&A②「事業場」ってどの単位ですか?

これは、労働保険や社会保険でいういわゆる適用事業所単位になります。法人はひとつであっても本社、支店、営業所それぞれがひとつの事業場となるので、それぞれの組織に属する労働者数で作成義務の有無を判断することになります。とは言っても、基本ひとつの法人で10人以上いるなら、営業所単位で10人未満でも通常は一法人で就業規則を作成しているところがほとんどです。

なお、作成した就業規則の届出については、e-Govを経由して電子申請で行うことも可能ですので、ぜひ利用してみてください。ちなみに事業所から提出の場合は、電子証明書やGビズIDなども不要です。

就業規則は常時見やすい場所に掲示または備え付けるか書面の交付が必須!共有システムなどで従業員が常時確認できる状態にしておくことも可🍀

よくあるのが、助成金受給のために、社労士に就業規則を過去に作ってもらったけど、従業員にはしっかり周知できずにそのままになっているパターンです。せっかく作った就業規則は、従業員に確認してもらってこそ、生きるものです。採用の際には、労働条件通知書等を発行すると共に、最初に就業規則があることをきちんと伝えておくことをルール化するのがベストです。

就業規則を作ろうと決意したらまず最初に知っておくべきこと

就業規則の目的はただ作ればいいものではなく、広く活用されることです。その目線をまずは忘れずに!

当たり前ですが、就業規則の内容は法令または労働協約に反する内容は規定できません。もしそのような定めがあった場合は、その部分については無効となります。逆に法令以上の取扱いを定めることは自由であり、むしろ従業員のためにそうすることは望ましいと言えますし、それこそ就業規則を作る意義にもなるでしょう。また、出来る限り分かりやすく明確なものとして、個別の事業場の実態にあったものを作成するようにしましょう。
これもよくあるのが、ネットに公開されている就業規則のひな形等は便利なものですが、そればかりに囚われ、簡単につくってしまうと実態にあわず味気ないものになってしまうこともあります。目的を作ることに置くのではなく、従業員に活用してもらうことが一番なので、会社のルールを決める良い機会と捉えて、色んな人の意見を聴きながら事業所独自の就業規則を作成していきましょう。

その上で就業規則を作成するのに参考になるモデル就業規則等の各種ひな形を一挙ご紹介!

とりあえず、自社で就業規則を作りたいと思ったら、多くの事業所様がまず目にすることになるのが、厚生労働省が発出している「モデル就業規則」になるかと思います。オフィスこころも確認しています。個々の条文について解説もついていますので、人員的余裕もあり、しっかり読みこむことが出来れば、専門家でなくともこれに沿って就業規則を作成することが出来ると思います。また、モデル就業規則以外にも、パートタイム労働者用の就業規則、育児・介護休業等に関する規程、テレワーク規程なども公開されていますのでうまく活用しましょう。以下参考になるリンクを貼りつけておきます。

【参考】ネットで公開されている各種規程のひな形一覧
モデル就業規則(令和4年11月版)
パートタイム・有期雇用労働者労働者就業規則の規定例
テレワークモデル就業規則作成の手引き(一般社団法人日本テレワーク協会)
育児・介護休業等に関する規則の規定例

とても参考になるなあ、まずは僕がこれを読み込んで事業主さんに説明するよ!

あなた神様!?

社労士にとっては驚異的存在か?厚生労働省作成のWEBを活用して就業規則を作る「就業規則作成支援ツール」の性能をオフィスこころが検証してみました(;'∀')

厚生労働省作成の事業者のための労務管理・安全衛生管理診断サイト「スタートアップ労働条件」というものがネットで公開されていますが、ユーザー登録するとこちらでは「就業規則作成支援ツール」という、モデル就業規則に即して、就業規則を自社でカスタマイズできる便利なツールが無料で使えます。事業所独自の章・条の追加や内容の変更もできるようになっていますので、一度自社で就業規則作りをチャレンジしたいという事業所様には最適かもしれません。オフィスこころも、就業規則作成に関して報酬を頂いている社労士としては気になるので、従業員はいませんが事業所として登録し、このツールが使えるものなのか否か、検証してみました(;'∀')
結論というかオフィスこころの感想としては、
・思っていた以上には使えるもの、章や条を追加変更削除でき、そのあとに続く章番号や条番号も自動的に変わるのはなかなか優れている。
ただし、条の中に予め記載されている条番号や項番号までは自動的に変わらないので、章や条を追加削除する場合は、ひと手間の修正と確認作業が必要。

・労働時間や有給休暇など色んなパターンが記載されており、事業所様だけで細かいところを判断して自社に必要なものを選んでいくのはなかなか時間がかかりそう。
・目次も自動作成で作られるのは優れものだが、PDFでしか出力できないので、このフォントや形式が嫌でも自由に変えることはできないのはネック。
・ユーザー登録しておくと、過去に登録しておいたデータを呼び出して書き換えることができるので、これだけでやって行く場合は便利なはず。
というところです(^^;)あくまで一社労士の見解として捉えてください。時間や人員に余裕のある事業所様はぜひチャレンジしてみるのも良いかと思います!
ちなみに、オフィスこころがこれを使って試しに作成した就業規則はこちらです、こんな感じに表示されますので参考にしてください↓
【参考】就業規則作成支援ツールで作成した就業規則
(29ページあります💦下に表示される矢印でスクロールすると次ぺージを見ることができます。)

僕も早速試してみました。パソコン上でさくさく作っていくのが苦にならない人にも向いているかもです。モデル就業規則をワードでダウンロードしても、わざわざ自分でアウトライン設定しなければ、章や条を追加しても、既にある章や条番号は勝手に変わらないので、これは画期的です。

そうよね、最後の検証作業が大変そうだけど、自分で作るなら使わない手はないわね。ちなみに、オフィスこころは「KiteRa」という就業規則作成のクラウドシステムを導入しています。事業所様とクラウド上で就業規則の共有が出来、作成過程でもこちらのクラウド上でやり取りが出来ますし、最初は分かりやすい質問形式のツールで就業規則のひな形を作ることも可能になっています。事業所の規模や要望にあわせてありとあらゆる使い方が可能で、規程の種類もたくさんあります。もしオフィスこころに就業規則等の作成を依頼する場合は、まずは現状の規程や問題点を洗い出しながら、労務管理のコンサルティングを含めて一緒に作成していきますので、無駄な回り道は少なくなるかと思います。必要な方はご相談くださいね!
就業規則だけでなく、会社には色んな規程が必要ですね。そんな相談にも乗っていただけるのはありがたいなあ。

就業規則を専門家に作成依頼した場合に、その作成費用の一部が助成金などで賄えることもあるの?

意外と知られておりませんが、働き方改革推進支援関係の助成金で、金額の上限はありますが、例えば有給の特別休暇を新たに設けるなど従業員にとってプラスとなる取り組みをした場合、専門家に依頼した就業規則作成費用の一部が助成金として申請できるというのがあります。この場合は、他にも事業所で取り組まなければいけない条件があるのですが、労働時間を短縮するために専門家からコンサルティングを受けたり、新たな設備や機器、労務管理ソフトや勤怠システムを導入した場合も、それにかかった費用もあわせて申請できるものです。他にも各自治体単位でも就業規則作成にかかった費用の一部が支給される助成金などがあることもあります。毎年度、条件や種類は変わりますが、活用したいという事業所様は厚生労働省や自治体のホームページなどをチェックして最新の情報をキャッチできるようにしておきましょう!
【参考】令和4年度「働き方改革推進支援助成金」労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内
他にも、同様の内容で「労働時間適正管理推進コース」「勤務間インターバル導入コース」がありますが、どれも今年度の募集は終了しています(;'∀')

それは良いこと聞いたなあ。専門家に依頼したくても費用が気になる事業主さんにとっては朗報かも。

助成金を申請するためには「まず計画書を出して、決定を受けて、取り組みを実行して、費用を支払って、それを全て報告して、最終的に助成金を受給する」というのが基本の流れになります。取り組みはもちろんのこと、計画書や報告書作成にも労力はかかりますので、その辺も覚悟の上で、助成金の趣旨に沿ってやっていきたいという事業所様は活用してみると良いでしょう。

ちなみに、働き方改革推進支援助成金では就業規則を作成依頼した社労士に、助成金の代行申請も依頼すると、自己取引による不正の発生を防止する観点から助成金が不支給になりますので、ご注意くださいね!

オフィスこころの所見

今回は就業規則の作成について、よく聞かれることを中心にお話させていただきました!10人未満の事業所様で就業規則を作らねばと思っているけど、忙しくてなかなか作成にとりかかれないところも多いように感じます。また、昔作った就業規則が活用されないまま、日の目をみることもなくなっている事業所様もよく聞きます。なかなか、面倒くさいことではありますが、会社と従業員を守るルールブックは事業運営に必須なものだと思いますので、一度自社の就業規則が時代遅れでないか見直してみるのも良いでしょう。

従業員目線としても、働いている事業所の就業規則がちゃんとしているかは気になるところだよね。うちの会社の就業規則、しっかり見てみたい気になったよ。

何度も言いますが、就業規則は活用されてこそ生きるものですし、その時代や法律改正にあわせてどんどんブラッシュアップしていくものであると思います。作ることだけで満足するのではなく、その保守や改定についても、常に考えておくことは必要でしょう。そのためにも社労士などの専門家を活用していただければと思います。また、労働基準監督署などでも、「この条文について、これで大丈夫か」みたいな個別的な質問には答えていただけるそうです。いずれにしろ、なかなか事業主様だけで判断するのは難しく、第三者目線での確認は必須であると思います。

今日はとっても勉強になりました。早速、中小企業の事業主さんに今日学んだことをお伝えしたいです!

しろ吉くん、これから大活躍やね!頑張って🌟

最後までお読みいただきありがとうございました。オフィスこころでは、今後も身近な生活の中で、「こんなときどうしたらいいの?」という疑問に対する解決方法を少しずつ情報提供していきたいと思っています。少しでも誰かのお役に立てますように

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