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さて、今日は久しぶりのお役立ちミニ講座の投稿となりますが、結構最近よく聞かれる高年齢者の雇用確保措置についての情報をざっくりまとめてみたいと思います。
Contents
事業主は高年齢者雇用確保措置として①定年制の廃止②65歳までの定年の引き上げ③「希望者全員」の65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかを果たす義務があることを理解しましょう!
【65歳までの雇用確保義務(高年齢者雇用安定法第9条)】
まず大前提として、定年年齢を60歳未満にすることは禁止されています。その上で定年を65歳未満に定めている事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
①定年の定めの廃止
②65歳までの定年の引き上げ
③希望者全員の65歳までの継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときに定年後も引き続いて雇用する再雇用制度・勤務延長制度など)の導入
【注】継続雇用制度の対象者については、定年まで雇用した企業だけでなく、子会社や関連会社などの特殊関係事業主で雇用することも認められますが、その場合、定年まで雇用した企業と特殊関係事業主との間で、事前に契約を締結しておく必要があります。
ただし、
・心身の故障のため業務に堪えられないと認められること
・勤務(業務)状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責(業務)を果たし得ないこと
など、就業規則に定める解雇事由又は退職事由に該当する場合には、契約を継続しないことが認められます。
令和7年4月からの完全義務化とは何?経過措置の背景は年金の支給開始年齢に絡みます
上記の65歳までの雇用確保義務は平成25年4月以降、高年齢者雇用安定法で定められており、既に理解されている事業主様も多いかと思います。では、「令和7年4月からの完全義務化」とは何なのかと言いますと、③の継続雇用制度の導入について、平成24年度までに労使協定を締結することにより、経過措置として老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められていました。その経過措置が令和7年3月末で終了したため、この4月からは、60歳~65歳未満までの定年制の事業所でも、希望者全員を65歳まで継続雇用する義務が例外なく発生することになりました。
65歳までの雇用確保の完全義務化は雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給率にも影響が!あわせて最大15%→10%に変更になります。
60歳以降の賃金が、定年再雇用などの影響で60歳到達時点の賃金に比べて(75%未満)に下がった場合、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者に最大で各月に支払われた賃金の15%が高年齢雇用継続給付として支給される制度がありました。その支給率も令和7年4月から最大で各月に支払われた賃金の10%となりました。
【参考】令和7年4月1日より高年齢雇用継続給付金の支給率を変更します(リーフレット)
以前は60歳定年後は継続雇用はするが賃金が大幅に下がる企業が大半でしたが、企業の賃金制度の見直しもこの10年くらいで徐々に進み、60歳以降の賃金低下率が緩和されつつあります。そのため、給付金の必要性が低下し、縮小の方向に進んでいると言えます。しかし逆に言えば、65歳までの雇用確保はしているが、賃金制度はそのままという企業は見直しをせざるを得ない状況にあると言えると思います。
高年齢者雇用確保措置を実施する場合の労働条件についておさえましょう
さて、高年齢者雇用確保措置の実施についてはご理解いただけたと思いますが、では「何に留意していったらいいのか?」、考えるポイントについて以下列記しますので参考にしてください。
✅賃金・人事処遇制度の見直し
年齢的要素を重視する賃金・人事処遇制度を取っている場合は、「能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直し」に努めましょう。その際、高年齢者などの雇用や生活の安定にも配慮した段階的なものになるのが良いです。
✅継続雇用制度を導入する場合の賃金
継続雇用制度を導入する場合の賃金は、継続雇用する高年齢者の就業の実態、生活の安定などを考慮し、適切なものとなるよう努めましょう。
✅勤務日・勤務時間
短時間勤務制度・隔日勤務制度など、高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めましょう。
✅継続雇用制度を導入する場合の契約期間
高年齢者雇用確保措置が65歳までの雇用の確保を目的とする制度であることを踏まえ、継続雇用制度において契約期間を定める場合は、65歳までは契約更新ができる旨を周知するとともに、むやみに短い契約期間とすることがないように努めましょう。
✅意欲・能力に応じた適正な配置・処遇
職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲や能力に応じた適正な配置と処遇の実現に努めましょう。
65歳はまだ現役!時代は70歳までの「高年齢者就業確保措置」を求めています!(努力義務)
とりあえず65歳までの雇用確保は義務であることはご理解いただけたかと思いますが、事業主は65歳までの雇用機会を確保する義務の履行に加え、70歳までの就業機会を確保するよう努める必要があります。
70歳までの「高年齢者就業確保措置」とは?
【対象となる事業主】
定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主
【対象となる措置】
次の①~⑤の措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努める必要があります。
①70歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
※子会社、関連会社などの特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む。
➃70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
※ ③~⑤では、事業主が講じる措置について、対象者を限定する基準を設けることができますが、その場合は過半数労働組合等との同意を得ることが望ましいです。また、④~⑤の創業支援等措置は雇用によらない措置であるため、個々の高年齢者の働き方について、労働者性が認められるような働き方とならないように留意する必要があります。
【参考】高年齢者就業確保措置について(リーフレット)
高年齢者の「無期転換ルールの特例」について知っていますか?
ここでちょっと知っておいたほうがよいのかなということをお話しますね。原則として、定年後に引き続き雇用される有期契約労働者についても、有期雇用契約開始後、5年を超えて契約を更新する場合の無期転換ルールは適用されます。 ただし、適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定(第二種計画認定)を受けた場合には、無期転換ルールの特例として、その事業主の下で定年後に引き続き雇用される期間は無期転換申込権が発生しません。
この計画書を提出していない場合に、例えばですが、60歳定年で65歳まで継続再雇用→65歳以降も引き続き働いてもらいたいと思い契約をさらに1年更新したときに、労働者のほうから無期転換の申込がされると、使用者は無期雇用を拒否できません。あまりない事例かもしれませんが、該当するパターンが想定される事業主については、予め計画を出しておく方が万が一のための対策としてよいと思います。
ただし、有期労働契約で定年年齢(契約更新の上限年齢)を迎えた労働者や他社(特殊関係事業主を除く)で定年を迎えた労働者は対象となりませんのでご留意ください。その場合は、無期転換後の労働条件について、例えば就業規則に「無期転換後の定年」や「第2定年」を設けることで対応可能な場合がありますので、事前に色々なパターンを想定しておき、予防しておくのがベストです。
【参考】無期転換ルール及び有期特措法に基づく第二種計画認定申請について(大阪労働局HP)
高年齢者を雇う場合にこの他理解しておきたいこと!
では、高年齢者を雇う場合に、この他事業主が留意しておくことを以下簡単にですが、列記します。
高年齢者雇用状況等報告書(義務)
従業員数の増減を考慮し、対象者確認時点で雇用保険に加入している人数が20人以上の企業に送付されます。毎年6月1日現在の状況を、企業の主たる事業所(いわゆる本社)において、支社、支店等の分をとりまとめて、企業の主たる事業所を管轄するハローワークに提出するものです。障害者雇用状況報告も同時期に行われ、電子申請での報告が可能です。
高年齢雇用等推進者の設置(努力義務)
企業が高年齢者の雇用を促進するため、高年齢者雇用安定法に基づき、複雑な高年齢者の雇用環境を整備し、適切な雇用管理を推進する役割を担う担当者を設置することが望ましいとされています。助成金などでは推進者の設置が支給条件になっている場合もあります。
再就職援助措置(努力義務)と求職活動支援書の作成と交付(義務)
45歳以上70歳未満で解雇その他の事業主の都合により離職する者や65歳以上70歳未満で、定年年齢に達して離職した場合や継続雇用制度の対象者基準に該当しなかったり、上限年齢に達したことにより離職する者等が再就職を希望するときは、
(ア)求職活動に対する経済的支援
(イ)求人の開拓、求人情報の収集・提供、再就職のあっせん
(ウ)再就職に資する教育訓練等の実施、受講のあっせん
などの再就職援助措置を講ずるよう努めることとされています。また、解雇その他事業主都合により離職した高年齢者等(45歳以上70歳未満)が希望するときは、離職することが決まった後、速やかに「求職活動支援書」を作成し、本人に交付しなければなりません。
多数離職届(義務)
同一の事業所において、45歳以上70歳未満で解雇その他の事業主の都合により離職する者や65歳以上70歳未満で、定年年齢に達して離職した場合や継続雇用制度の対象者基準に該当しなかったり、上限年齢に達したことにより離職する者等が1か月以内に5人以上いる場合は「多数離職届」をハローワークに提出しなければなりません。
その他より高年齢者の雇用管理について詳しい内容を知りたい方は以下のリーフレットを参照してください。
【参考】高年齢者雇用安定法の概要(厚生労働省 ハローワーク作成)
高年齢者を雇用するにあたって活用できる助成金や困ったときのアドバイザーの活用情報などを知っておきましょう!
65歳超雇用推進助成金
生涯現役社会の実現に向けて、65歳以上への定年引上げ等や高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成し、高年齢者の雇用の推進を図ることを目的とした助成金で3つのコースがあります。まずはリーフレット等で概要を確認しましょう。窓口は独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構(JEED)の各都道府県支部の高齢・障害者業務課になります。
①65歳超継続雇用促進コース:定年の引上げや定年制の廃止を実施した企業向け。
②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース:高年齢者向けの雇用管理制度を整備した企業向け。
③高年齢者無期雇用転換コース:50歳以上の有期契約労働者を無期雇用に転換した企業向け。
【参考】令和7年度65歳超雇用推進助成金のご案内
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、ハローワークや民間の職業紹介事業者などの職業紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、助成金が支給されます。60歳以上の高年齢者も対象となりますが、自社の直接採用などは対象になりません。また、採用日前後6ヶ月間に事業主都合の離職がある場合も対象になりません。詳細は以下のリーフレットでご確認ください。
【参考】特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内
70歳雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザーの活用
【参考】70歳雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザーのご案内(独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構 HPより)